シンガポールと日本との時差は1時間,にしき郷を飲んで眠ってしまった真紀は電話の音で起こされた。シンガポール時間で午前4時だった。
「社長の交通事故は、首都高速でおきた。社長は重体だ。さっき手術が終わって集中治療室に入ったところだ。真紀を置き去りにして、すまん。この埋め合わせはするから勘弁してくれ。会社の連中は皆、集まっている。まだ社長の容体は予断を許さない」
起き上がり、スリッパを探して冷蔵庫までいき、またにしき郷を飲む。もう一眠りと思いながらトロトロと眠りに入っていく。
厚地のカーテンから日がさしこんでいる。
真紀は目をさまし思いっきり伸びをした。さあ今日からどう過ごすか考えねばならない。
この旅行は、和也に頼りきりで一人で考え、決めていくことなど思いもよらなかった。だが現実は自分で探して決めねばならない。和也を責めることも頭をよぎったがやめた。部屋のマガジンラックに観光案内が入っているので、英語ばかりだが手にとってみる。こんなことならガイドブックをナリタで買ってくればよかったと思うが後悔はしないことにする。
冷蔵庫から、コーラを出し、飲みながらページをくる。和也とシンガポールについて会話したことを記憶の底からひっぱりだす。
シンガポールの地図をみつける。泊まっているホテルの位置を確かめる。オプションツアーはホテルと契約している旅行社を介して決めようと和也が言っていたのを思い出す。
一人ごとを真紀はいってみる
メモを書く。この人誰かな?Raffles・・・この人、港に銅像があるらしい、これも質問だわと考える。ガイドブックにRaffles のことが載っている。どうやらシンガポールにとっては重要人物らしい。この人の名前でホテルもあるわ、ここに行ってみようかな? ホテルなら、街に出るより安心かもしれない。
明日の深夜便でかえることを決めホテルのフロントで、飛行機を予約した。明日は午前中、蘭の花をみにいき、午後は免税店にいってお土産を買い、夕食はゆっくりとり、飛行機に乗ろうと考えた。
市内の銀行でシンガポールドルに換金してみる。パソコンがズラリと並び、オペレータが事務をしている。みんな私服だ。
ラッフルズホテルをめざす。真紀が泊まったホテルからさほど時間がかからず到着した. 南国特有の木々に囲まれた白壁の建物で、エキゾチックだ。建物は回廊に囲まれていて、ブランド店が整然と並んでいる。回廊にたつと涼しい風がふきぬけていった。
和也と必ずもう一度やってこよう。このラッフルズホテルの話しをしてみたい。ホテルグッズのコーナーでカードやコースターを買い、ブランド品の店をのぞいた。英国の陶器の店もある。ハンドバックや服や宝石より真紀は陶器をみて歩くことが楽しい。もって帰ることを考えて、和也のタイピンとお揃いでヘンダントヘッドを買った。
【女も一人で・・・・】
女は一人にしておくべきではなく
一人きりで試すことを女もしてみれば
冒険してみれば新しい女になれそうだ
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