「夏子の酒」の幻の酒米「龍錦」のモデル米
これぞ幻の米・亀の尾
  コミック、そして、フジテレビでドラマ化された「夏子の酒」をご存じでしょうか?

 実はわたし、年甲斐もなく、このコミックを全巻持ってまして、大ファンなんです。
 酒蔵の娘が兄の意志を継ぎ、幻の酒米と言われる「龍錦」という米を復活させ銘酒を造るという物語は地酒ファンならずとも夢中になった作品でしたから、読んでない人は、是非、書店に走って読みましょう。

 わたしなんか、感動して不覚にも涙してしまったんです。ヾ(^_^;) オィオィ
 TVドラマの方は、かなり原作と違っていたから、なんか今一だったけど・・・ね。

 さて、この「夏子の酒」に出てくる「龍錦」なる幻の米があります。
 この物語は、この幻の米の一握りの種米を育てていく課程が、一つの主題になっています。
そして、それを復活させて仕込まれてできあがった酒が、日本一の酒になるというお話なんですが、この「龍錦」。ホントにあるのでしょうか・・・・。
というのが、しばらくわたしの頭の中でのたうち回りまして、夜も眠れぬ日々が続いておりました。<(^_^);

 そして、やっとそのこの答えを見つけたのですよ。(^o^)ノ
結論から言いますと「龍錦」なる酒米は実際には存在しておりません。
しかし、この「龍錦」のモデルといわれる米は確かにありました。
その酒米の名を「亀の尾」と言います。

 この「亀の尾」という酒米は、大正末期から昭和初期にかけて、酒造家の間で「西の"雄町"、東の"亀の尾"」と称されるほどの有名な酒米だったらしいです。

 発見されたのは明治26年、その年、東北地方は大冷害にみまわれます。
秋田県のお隣の山形県に、明治元年生まれで当時26歳の阿倍亀治という青年がおりました。

 この亀治青年のたんぼも、早生で冷害に強い苗が植えられていたにもかかわらず、冷水のかかる「田の水口」あたりの稲はほとんど実が入っていなかったのだそうです。
 じゃが(いきなりじいさん言葉になるけど・・・)、彼はその中に三本だけ黄色く、たわわに実った稲穂を発見してしまったのです。
 早速、この穂を持ち帰り種米として大切に育成し、見事に品種として固定させる事に成功させたのです。

 始め、友人から亀治の一字を取って「亀の王」という名を進められたそうですが、「王」はおそれ多いからと「尾」にしたという、おくゆかしいお話が伝えられております。(^^)

 その後、瞬く間に東北地方から全国に広がったのですが、この「亀の尾」は、耐病性が弱く、倒れやすいため、多肥栽培に適さず、他の品種に置き換えられ、酒米としての価値が認められていたため、一定面積だけでは根強く栽培されていたものの、時代の波には逆らえず、遂に完全に姿を消してしまっておりました。

 まさに絶滅してしまったと思われておりました。

 ですが、時代に忘れられかけたその時、「亀の尾」はある人の手で復活します。
その人は、農水省種子センターに保存されていたわずかな種米を発見し、同志を集めて栽培に成功したのです。

 それは「亀の尾でつくった吟醸酒は素晴らしかった。」と長老と呼ばれている杜氏さんから聞いた話がきっかけだったらしいです。

 そして、どうやら、その事実をもとに「夏子の酒」は出来上がったらしいのです。

 ついでに、今ある銘柄米と言われる「コシヒカリ」「ササニシキ」や酒造好適米の「五百万石」「美山錦」なんかのルーツをたどるとすべてこの「亀の尾」にゆきつくという事です。(^^)

 さて、この「幻の酒米 亀の尾」で造った酒、みなさん飲んでみたいと思いませんか・・・。
今の所、わたしは2つの蔵で造っているのを知っておりますので、次回にこの2本を紹介します。

 いいえ、待たせません・・・。ホントにすぐに紹介しますので、まめに見に来て下さいね。
 それでは・・・<(^_^);

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