特派員レポート 
第1回 お米の話   
 の友人でもあり、無類の酒好きでもある角館在住の 泥酔1号@嫁求む さんが長年蓄えた知識をレポートしてくれることになりました。米の話 水の話 蔵元見学記など・・・・。色々な話題が盛りだくさんで、お酒の話から遠からず近からず・・読み終えた時には、「私も知識人」などという錯覚に落ちいてしまいそうです。

それでは、どうぞごゆっくり お楽しみ下さい!!

 ちょっとお酒の話               泥酔1号@嫁求む  記

  日頃、何気なく飲んでいるお酒ですが、ただ なんとなく飲んで酔っ払ったり、酔った勢いで騒いだりしているだけでは少し虚しいものがあります。

 まあ、人それぞれですので、酔っ払っても、騒いでもいっこうに構わないのですが、その元凶(ほんとかね?)になっているお酒、その中の日本酒について、いろいろな方向から光を当ててみたいと思います。途中で、日本酒の話に飽きたり、話に詰ったりしたら、ビールやワインも取り上げてみたいと思います。

  結構くどい話になる場合もあるかと思いますので、読む気がない、あるいは関係ないやと思われた方は、どうぞ 読み飛ばして下さい。

  第 1回    米の話

  日本酒のもっとも主要な原材料はお米です。(当たり前か! ) お米は稲作農家の皆さんが、八十八の手間をかけて丹精込めて育て上げたイネを 刈り入れて脱穀・乾燥したものですが、このお米、これはいったいどんなものなのでしょうか。

  日本人が主穀として食用し、国酒である日本酒、焼酎、みりんの主要な原材料として用いられるお米、植物としてはイネですが、この原産地は日本ではありません。
現在、全世界で約20種類の野生のイネが確認されていますが、このうち、人間が栽培しているイネに最も近い種類のものを、オリザ・ルフィポゴンとオリザ・ニヴァラ(オリザはイネ科であることを示しています)といい、これらの野生イネの原産地がインド東部から、ベトナムにかけての地域でしたので、栽培イネの原産地もこれらの地域  − 高温多雨で、雨季・乾季のある亜熱帯地方 − だろうと言われています。

 日本でのイネのイメージといいますと、水田一面に水が張られ、登熟する時期になって水田の水を落とすまで、水とは切っても切れない関係の様に思われがちですが、本来のイネは陸稲(おかぼ)に近いものだったようです。
アフリカ原産種の野生イネでは、短い雨季の少量の雨だけで急速に成長し、乾季に入ると登熟して種(つまり米ですな)を残すものも知られているそうです。

  米の種類は大別して長粒種系であるインディカ米(日本ではなじみの薄いタイ米のように細長い米)と、短粒種系であるジャポニカ米(小豆粒に近いの楕円形をした米)に大別されます。インディカ米とジャポニカ米には、それぞれうるち米ともち米があり、作付けの方法により、水稲(水田に植える)と陸稲(おかぼ・畑に植える)に区分できます。

 インディカ米はイネ本来の姿に近いとされ、亜熱帯地方で作られます。従って、特に品種改良されたものを除けば、日本や、中国中部(北京近辺)、朝鮮半島などの稲作の北限に近い地域では栽培できません。

これに対し、ジャポニカ米は栽培が北の地域(中国雲南省以北)に進に従って、気候や、人為的な淘汰に生き残った種類とされています。ジャポニカ米の特徴は、四季のある冷涼な地域でも栽培できるということと、気候に対応するためか、人間が耕作に用いるために人為陶汰したためか、水稲品種が多いということです。また、イネは元々が南方から進んできたものですので、ジャポニカ米を南に持っていっても栽培できます。

  ジャポニカ米は基本的に、結実(米が実って)して次の世代を残す一年草ですが、インディカ米では、イネであるのに結実しないもの(米が実らないでどんな意味があるんだろう?)や、笹竹のように地下茎で増えるもの、また、多年草である品種(野生イネだけでなく、栽培イネでも)も知られています。

       あーっ!    長い一っ!

 さて、日本のお米です。とりあえず、もち米や陸稲までも含めた話になると収集が付かなくなるので、水稲うるち米、いわゆる普通のお米(?)に限って、酒造りに使うお米の話を中心に語らせていただきます。

  私たちが普段食べているお米、秋田が誇る「あきたこまち」、お米の帝王新潟の「コシヒカリ」、宮城の「ササニシキ」「ひとめぼれ」、あるいは関西を中心に全国各地で作付けされている「日本晴」、こういった主食用の品種はテレビのニュースなどでもよく出てきますし、実際に食べていると思いますので、よくご存知のことと思います。

 一方、日本酒の醸造に使われるお米  − 酒米といいます −  はどのような種類があるのかご存知ですか?
先に主食用としてあげた品種も、酒造りには使われますが、主にこんな品種が使われます。
  「雄町」「山田錦」「五百万石」「美山錦」「高嶺錦」「吟の精」etc.... 

  酒米の王様ともいわれる「山田錦」や、秋田県で生産される酒米の主力品種である「美山錦」や「吟の精」は、どこかで耳にしたこともあるかと思いますが、「雄町」や「高嶺錦」、あと、先程には書きませんでしたが、「フクノハナ」や「華吹雪」などは聞いたことも見たこともない人がほとんどだと思います。

 これら、酒造用に使うことを目的に作付けされているお米のうち、農林水産省に登録されている品種を「指定醸造用品種」といいます。
また、指定醸造用品種以外で酒造用に、都道府県や県経済連などで作付けを奨励している品種 − たとえば秋田の「吟の精」、福島の「チヨニシキ」、埼玉・群馬の「若水」等 −  を、俗に「奨励品種」(主食用に各県で奨励している品種との混同を避けるためか、各県でまちまちな呼び方をしています。決まった呼び方はありません)といいます。

また、これら以外の一般の主食用の米で、造り酒屋が醸造用に適しているとして購入する米、つまり、従来からの使い慣れた米、あるいは特定の目的を持って醸造するために、作付けを依頼した米(県内では「亀の尾」や「陸羽132号」が当たります)を含め、酒造りに使う米を法律では「醸造用玄米」、一般的には「酒造好適米」と呼んでいます。

  それでは、普段私たちが口にする「あきたこまち」「ササニシキ」等と、「酒造好適米」とはどこが違うのでしょうか。

           重さ            外見           大きさ
主食用  20〜22g/1000粒  半透明、全体に均一な乳白色   ・・・・・・・・
醸造用  24〜30g/1000粒  半透明・乳白色、芯に白い固まり  主食用より2まわりくらい大きい

  酒造用の米は、主食用に比べると大きくて重く、中心に白い固まりがあってご飯にするとパサパサしてまずいということですね。決して食べられないわけではありませんが、指定醸造用品種と奨励品種を炊いてご飯にするというのはご遠慮したいというのが正直なところです。

  酒造用の米がパサパサしているのは、実は肝心な部分です。酒を仕込むときに、お米を蒸すのですが、この時に米に粘り気が多いと、蒸し上った後に米がくっついてしまって各種仕込み処理が大変なので、「あきたこまち」「コシヒカリ」を酒造用としては嫌う造り酒屋も多いようです。

  外見的な特色で、米の芯に白い固まりがあると先に述べましたが、これは「芯白」といって、米に実が入るときに、でんぷんの分子がうまく並ぶことができなくて、光の屈折率が周囲と違うために白く見えるのだそうです。この芯白が米粒の中心にあって、大きい品種が酒造りに適しているといわれます。

一方この芯白が大きくても、米の腹や背に出る確率の高い品種や、実際に出てしまったものは、俗に背白や腹白と呼ばれて、造り酒屋では嫌われます。このような米は、往々にして精米中に背白・腹白の部分から削れていって、異型精米や砕米の原因となってしまうからです。

******第1回目はここまでです。次回をお楽しみに******

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