「にしき郷」の蔵元
「福乃友酒造」へ行ってきました。
福乃友社長

 田の酒の評価を耳にして「ほんとに秋田らしいうまい酒」を探していた2年前、たどり着いたのが今回訪れた「福乃友酒造株式会社」でした。
 この福乃友のお酒は、秋田では昔から「あねこ酒」と呼ばれており、女性に人気のお酒を造り続けている「酒蔵」です。
 当時は、俗に言う「辛口」の酒が人気があり(今もそうでしょうが・・・)、日本中が「日本酒は辛口」と猫もしゃくしも熱病のようにのたまっていました。
 わたしは、昼は「酒類卸会社」に勤める営業マンでありますので良くわかるんですが、酒造メーカーも「とにかく辛ければ売れる。」という事で一斉に「辛口」を造り始め、その結果、酒造アルコールをたっぷり混ぜた、それはひどい酒が出回っていたものです。
 ところが、その中にあって頑固にというか、自分流を通すと言うか、まるで落合選手のような「酒蔵」がここ「福乃友酒造株式会社」でした。

 実はわたしも「甘口」といわれる酒はあまり好きではありませんでした。
というよりも、生まれたときから家業が「酒屋」でしたが、秋田の酒屋では、うまい、まずいでしか判断しなかったので(うちのじいちゃんの好きな酒しか置いてなかったもので・・・)、あまり「辛口」「甘口」という尺度でお酒を計ったことがなかったのです。
そういう尺度があるというのを意識したのは、実は東京に出た時だったのです。
 友人に「これは甘口だね」なんていう、いわゆる「自称・酒の通」なる人がいて、その「甘口」なる酒を飲んだとき、あまりのまずさにビックリしたものでした。
ですから、わたしにも「甘口アレルギー」なる得体の知れない病気に侵されていたわけです。

 しかし、2年前二日酔いに頭を抱えながら探していたときに出会ったここのお酒を、わたしは「甘口」とは夢にも思いませんでした。
極端な話ですが、甘口=まずい酒 辛口=うまい酒 の方程式に強引にあてはめるとすれば、わたしは間違いなくここのお酒を「辛口」と判断するしかなかったですね。
東京で飲んだ「甘口」とはぜんぜん違うお酒で、スッキリとしていているのに、ちゃんとお米の旨みがにじみ出ているお酒だったのです。

 そして、プライベートブランドとして「にしき郷」をお願いすることになります。
普通、わたしのようなお金も地位もない「小さな酒屋の息子」を相手にしてくれる酒蔵など皆無に等しいのですが、社長の一星邦彦さんは快く受けて下さったのです。
 その時の「うちは辛口の酒は造りません・・・というより造れないんです。まあ、不器用と言うよりないんですが・・・」と笑った人柄に、またまた単純なわたしは惚れ込んでしまったわけです。

 今回、このページを作るために久しぶりに訪れたんですが、お忙しいにもかかわらず、あの時と変わらない笑顔で迎えて下さいました。
そしてなんと、そういうことならと全面協力を約束して下さり、始めて杜氏さんを紹介して下さいました。

福乃友三人  右の写真に杜氏さんであります鶴田惣太郎さんが写っております。
失礼ながら第一印象は「怖そう・・・」でした。
ですが、お話してみると結構冗談もいう気さくな方でした。
それでいて、はっきりものをいう人です。
「酒造りの職人」というオーラみたいなものが感じられました。
 それもそのはず、鶴田さんの出身は山内村なんだそうで、本当に正真正銘の生粋の「山内杜氏」だったわけです。

 いろんな話をしました。
いきなり「失礼だが、わたしは今の酒業界の嘆かわしい現状は酒販売業者が招いたものではないかと思っている」とズバリと痛いところを付かれたりもしました。
「だいたい酒の値段を勝手に決めているのは販売業者だ。わたしはお客さんである消費者が値段を決めるのが本当ではないかと思っている。」と言うのです。
わたしも同意見でありました。が仕事の立場上何も言い返せなかったのですが、
「現状の流通環境では実際にはそれを行うのは不可能でしょう。ですがインターネットならそれができる可能性があります。実際にお客さんはお酒の事を知りませんし、こういう仕事をしているわたし自体だって本当のお酒の知識があるのかというと自分でも疑問です。ですから、杜氏さんに聞くのが一番だと思って今日はお邪魔したわけです。」というささやかな抵抗をしたんです。
すると、「酒造りはまず米から知らなければならない。だから、わたしは自分のたんぼで作った米で酒を作っている。まあ、それでは足りないので、ここでは信頼している農家の方と契約した米を使って酒を作っている。お酒と言っても人様の口にはいるものだから、最低でもどこで取れた米なのかぐらいはハッキリさせておきたいと思っている。」 「一言で説明しようとすること事態が無理なことだ。だって米を育てるところから酒造りは始まっているんだから・・・」
というので「実際にそれをやりたくて今日はお願いにあがりました。」とわたしも言い返したのです。

 そんなこんなで、3時間ぐらい話し込んでしまいまして、杜氏さんから「いつでも聞きにこい。俺の知っていることならなんでも教えるし、それよりも、「にしき郷」をずっと追いかけてみれば一番わかると思うから・・・」と協力を了解してもらいました。

 ですから、このコーナーは今回から「にしき郷」と「福乃友」のお酒は今どうなっているか・・・というコーナーになることと思いますし、杜氏である鶴田惣太郎さんのページと言うことにもなります。
どうか、みなさん楽しみにしていて下さい。

 そうそう、杜氏さんがこんな事を言ってました。
「日本人にはやっぱり日本酒が一番似合っていると思う。たとえば、自分が酒飲んで死んだとする。その時、回りに缶ビールが列んでいたらだらしないと思われるだろうし、ワインじゃなんか情けないし、ウイスキーじゃ絵にならないだろ。・・・でも、日本酒はいい、一升瓶が転がっているなんてなんか豪毅な男って感じでいいしゃないか・・・」って、、、
その話を聞いて思わず大笑いしてしまいました。(^^)

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