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民舞・ホット情報

舞踊家ミッシェル誕生物語

その6 さんさ踊り開始、稽古中断、第2回発表会

さてじゃんがらの構成がほぼ確定し、かなり良い線が出てきた頃の10月20日からさんさ踊りへと稽古は進みました。腰から膝に太鼓を吊るすじゃんがらから今度はそれより大き目の太鼓を胸にして踊る踊りへと段階が進みます。
さんさ踊りは岩手の各地に伝わっておりそれぞれの地域によって踊り方が微妙に違うのですがミッシェルが覚えたのは三本柳のさんさ踊りです。
最初から太鼓踊りはやらずに、この踊りは手踊りから稽古を開始いたしました。
手踊りを覚えるために、また太鼓へと進んだときのためにもまず口しょうがをしっかりと叩き込むことにしました。
ニュアンスにも関わるのでできる限り岩手風に訛って。
基本はまず3拍子からです。
ちなみに3拍子の口しょうがは以下のように。

3拍子口しょうが

DA−GO−SU−KO  DAN−GADO−KA=
DAN−GADO−KADO−KADO  DAN−GADO−KA=
DAN−KON−DAGO−SUKO  DAN−GADO−KA=
KA= KI= KADO−KADO−KA−KADO
KA= KA−DO
(−でつないだ部分は一塊、つまり一連で2拍 =は休みの記号です)

当たり前ですがやはり口しょうがは苦戦いたしました。
慣れるまで何でもそうです。
そして同時に踊りも当っていったからなおさらだったでしょう。
ステップ、手、口しょうがそれこそ3拍子そろっての稽古、なかなか全部に神経が払えない。
その上ややステップの取り方にアメリカ的というか細かいリズムが入りどうも違うのです。
腰を落とし、ふんばってそのエネルギーで大地をけってはね返す、ということが一番大切なことなのですがそれを身体でつかんだのは大分後になってからのことでした。
そしてその稽古の中でミッシェルは膝の痛みを訴えてきました。
かなり訓練を積み重ねてきたけれどジャンプの多いこの踊りは結構ハードだったのですね。
大事をとって稽古はしばらくキャンセル。
そうこうするうちに今度は私が急遽飛翔班へ役者として出演せざるを得ない事態が発生、この後1ヶ月としばらく稽古はお休みと相成りました。
心残りのまま出発した後ミッシェルは一人で頑張り抜きました。
もちろん踊りの訓練は他の人に託し、手踊りの各番を進めるだけ進んでもらえるようにしましたが。
口しょうがもそれぞれ全部印刷して渡しておきました。

第2回研修発表会へ追い込み
12月、公演から帰ってきてみるとミッシェルは見事大半の手踊りを覚えていたのです。
しかし私が公演から帰ってきたのが12月下旬にさしかかった頃。
その時にはもう第2回目の発表会が間近に差し迫っておりました。
発表会は12月28日。27日がリハーサル。
24日稽古再開。
発表会に向けての追い上げの時期です。
さんさ踊りは年を越してから継続ということになりました。
丁度その日からアメリカの友達、ユミさんが訪ねてきてくれました。サンノゼ太鼓の今年のツアーが無事に終わり休暇を利用してミッシェルや私に会いに来てくれたのです。
それからユミさんはずっとミッシェルにつきっきり。
ミッシェルの発表会成功の為にあれこれと面倒をみてくれました。
あげくの果てに最後にはミッシェルの西馬音内盆踊りの太鼓伴奏で賛助出演、プログラムの最後にはユミさんとミッシェルの太鼓デュエットのおまけまで付くことになるのです。
持つべきものは友達です。
ミッシェルはといえば私がいない間ずっと地道に自習を積み重ねてきたのですが、西馬音内盆踊りなどは身体使いに緊張が入りわからなくなっていたことなどもあってその修復作業などにやや手間取ったりもしましたが基本的にはどの踊りも10月に稽古を中断した時のレベルを維持しておりました。
さすがでした。

第2回ミッシェル研修発表会

プログラム

1、民舞  西馬音内盆踊り(ユミさん太鼓賛助出演)

2、琴    六段

3、三味線伴奏  生保内節 (歌・研究生賛助出演)

4、民舞  越中おわら節

5、三味線演奏  六段より

6、民舞  じゃんがら

7、民謡  大黒舞

8、太鼓演奏  プライム・タイム(ユミさん賛助出演・サンノゼ太鼓のレパートリーです)

西馬音内盆踊り
津軽三味線
越中おわら節
じゃんがら
じゃんがら
大黒舞

 

第1回目の発表会後訓練をした曲の総ざらいです。当日は時期的に丁度良かったこともあり第1回目にもましてたくさんの方が応援、見に来てくれました。
司会を勤めてくれたW女子のユニークな進行もあり、終始笑いと感嘆の声の中でプログラムは進みました。
当日はユミさんのほかに東京からやはりお友達の大塚さんがお見えになり、ミッシェルの成長振りに大いに感動。これまた最後には通訳をかって出てくださり日本語では思いのたけを表すことの出来ないミッシェルの気持ちを表すことができました。

その時のミッシェルの思いは

今が人生のレベルアップする良いチャンスだと思っている。今後の目標としてはまだまだ全てにおいてプロフェッショナルではない。それでも今のベストの自分をもっていろいろなものに向かいたいし、たとえ技術はまだまだでも今の自分が向かう心を大事に色々なことに挑んでいきたい。そのことを教えてくれた先生方ありがとう。

(注・この訓練、プログラムは舞台実習として夏まで「彩風きらり」の実習をやったことは以前報告したとおりですが、その後夏から暮れまでミュージカル「アテルイ」の太鼓演奏で更に公演実習を継続しながらの訓練であったことを記しておきます。一週に一度のお休み以外は毎日公演に参加し、その上での訓練の日程でした。本当に頑張りぬきました。ごくろうさまでした。ミッシェル・フアンがたしかに増えました)


さて無事に発表会を終えて、確実に生長している彼女の姿に感動した人たちはその後もその場に居残り、ユミさんが作ってくれたクッキー、ケーキを食べながらしばし雑談。暖かなひと時をすごしました。さて次なる目標は3月に予定している最後の発表会。本日多少ミスをしてしまったミッシェルのくやしがり様。初めて日本で迎える新しい年を数日後に控え、思いを次に向けるミッシェルでした。

 

(写真はミッシェル、ユミさん、大塚さんを囲んで講師陣と賛助出演者)

お正月はユミさんとともに我が家でお雑煮を食べゆったりした年末年始になりました。