アメリカ・ワークショップ・ツアー報告 5

Workshop Tour
July−August
2003

いよいよツアーも最終盤。東へ北へ。

 8月5日

いよいよツアーも最終盤となってしまった。今日はソルト・レイク市へのフライトだ。
ミッシェルのお母さんがサクラメント空港まで送ってくれる。
ソルト・レイク空港にルスが迎えにきていてくれた。
さっそく市内のイタリア料理のお店に案内される。昼食。レストランではスタンが待っていてくれた。
彼はオグデン太鼓の人。
信じられないほど山盛りのスパゲッティが出てくる。4人とも大笑い。
ワークショップは隣町のオグデン。スタンと夜に会いましょうということで別れて再びルスの車でオグデンへ。
着いてみたらホテル宿泊だった。
気を使ってくれたのですね、とてもありがたかった。
5時半にルスが迎えに来てくれていよいよワークショップ会場、オグデンの仏教会チャーチへ。
仏教会の人、オグデン太鼓の人、ソルト・レーク市の仏教会の平野氏など。
ワークショップ開始。
最初の見本で踊ったそーらん節に皆目を丸くしている。
ワークショップはどんどん盛り上がり、小さな子から年配の方まで一つになっていく。
子供たちも少女たちも本当に良く踊ってくれた。


中でもスタンが一番張り切っていたかもしれない。
そーらん節を心から好きになってくれたことがその踊っている無骨な姿から汲み取れる。
発表会のためのグループ稽古は教会の本堂まで使わせてもらって皆さん必死。
短時間で覚えた踊りを一生懸命に発表する仲間の姿は参加した人達の熱い思いを誘うんですね。
それぞれのグループに惜しみない拍手が贈られました。

 8月6日

ワークショップ2日目。午前中、ソルトレイク市にあるモルモン教の教会を見学。アメリカで発生したキリスト教の一宗派なそうで、その発生地がソルトレイク市なのだそうです。ホテルの観光案内にも出ていて仏教会の平野氏が「見たいですか?」と訊ねるので「エエ」と答えて行ってみることに。歴史は150年位前らしい。宮城県仙台市から渡米している女性がガイドさんとしてついてくれる。(もちろん信者)ここの教会所属の合唱隊はアメリカで最も有名な合唱隊の一つなんだそうです。その合唱隊が演奏する教会内は音響効果抜群でした。
最後に仙台の女性にお願いしますとアンケート用紙を手渡されたのですが、うっかり書いたりしたら日本に帰ってしつこく付きまとわれると必死で断り、外へ。
危ない危ない。(日本の至るところで二人組みの外人若者が自転車で普及活動をしているのを良く目にしていたので)
久しぶりに昼食に日本食レストランでうどんをご馳走になり、午後オグデンの駅前商店街でウインドウ・ショッピング。
小さなストリートだ。
なのにアンティークの店が数軒。
それまで押さえていたアンティークへの興味が俄かに起きだしてついに二軒目のお店で小皿を買う羽目に。
6〜7cmくらいの小皿にミレーの落穂拾いの絵が模写されているリモージュの小皿だ。
満足してホテルに帰り夜まで休憩。
5時30分ホテル出発。
今日は黒石よされ節のワークショップ。
かなり丁寧に稽古ができる。
今日はずっと盆踊りを教えてこられた高齢の先生(ルスの先生)も参加してくださった。
腰を痛めてちょっと不自由そうだったが皆さんに混じってとても楽しそうに踊って下さった。
休憩時間にショート・パフォーマンス。
佐渡おけさ、津軽じょんから節、秋田おばこ、じゃんがら。
オグデンやソルトレークで盆踊りを踊る中心の人たちが多かったが、初めて見る民舞に皆さんびっくり。
ワークショップの最後は黒石よされ節を皆で輪になって踊り納めた後、そーらん節を踊っておしまい。
見事に揃ったそーらん節でした。


お一人ずつから言葉を頂き、次回を楽しみにということでお別れしました。

 8月7日

フライトの時間までソルトレイクを観光。巨大な塩の湖。そしてその湖に浮かぶ巨大な島。島に繋がる橋を車で渡りバッファローを目にしたところで引き返す。何処までも果てしの無い原野が続くだけなのだ。


午後3時15分にフライト。3時55分サクラメント着。(時差1時間)
サクラメント空港で夜8時59分発シアトル行き便を待ちつづける。ところがこの日は運が悪く遅れに遅れて9時45分頃にフライトとなる。
11時過ぎ、シアトル空港にシャルロッテが迎えに来てくれる。
ミッシェルも初対面の人だ。
彼女の家に到着。
犬のガサが迎えてくれる。
長い長い一日であった。

 8月8日

シャルロッテは仕事に。
午前、遅い時間にマサエが迎えに来てくれる。
今日は彼女が一日私達の為にお付き合いしてくれるのだ。
シアトル観光の日だ。
まずはマサエの家へ行く。
彼女の家で稽古用の太鼓の代用品、プラスティックのバケツをどのように体に着けるかを工夫するためだ。
シアトルのワークショップは「さんさ踊り」
人数分の桶胴太鼓などアメリカではそう簡単に調達など出来ない。
そこでバケツで稽古用の太鼓を作ろうという訳。
マーケットなどで売られているバケツに穴をあけてそこに紐を通すことに決定する。
その穴あけ作業は彼女の家の地下。
その地下は彼女達の太鼓グループの稽古場にもなっていた。
そしてそこで稽古もすれば、太鼓、太鼓の足なども全て製作可能なのだと言う。
実際にそこで作られた大太鼓が何台もあった。脱帽。
その後いよいよシアトル観光へ。
せっかくシアトルに来たのだからと、さっそくセーフィコ・フィールドへ。
そこのストアーで出きるだけ嵩張らないお土産イチロー・グッズを買う。
続いてスターバックス・コーヒー・ショップへ連れて行ってもらう。
ツアーの最初の頃にユミからスターバックスのカードをプレゼントされたのですが、使うチャンスが今まで無かったのです。
気にはかけていたのですが一度は使わないと悪いし、日本では使えないのでこの際に使い切ってしまいたかったのです。
濃く苦いスターバックス・コーヒーを飲み、カードの残りでこれも嵩張らないようにスターバックスのエプロンを買い、ようやく気も治まったところでシアトルを一望に見渡せるタワーへ。
すっかり日本人観光客をしてきました。(苦笑)
夕方、シャルロッテの家に戻る。
ワークショップを受けるシアトル市内の太鼓グループの代表の人たちが集ってのパーティ。
勿論ポトラックでのパーティだ。
お話しをしながらご馳走を頂き、お腹が一杯になった頃、俄かに皆で太鼓作りが始まる。
マサエがあけたバケツに紐を通し、両面にテープを何重にも貼ってゆき太鼓の代用品を次から次へと作っていく。
出来上がるごとに一つずつ叩いて確かめるのが私の仕事。
それは見事な出来栄えであった。


(聞くところによるとその工夫はケニー・遠藤から始まったとか・・・)
11時頃までその作業は続き見る見るうちに太鼓の山が築かれていった。
私も日本に帰ったら作ってみたいと心底感心させられた。
皆明日への期待をもって帰ってゆく。
明日からはいよいよ正真正銘の最終ワークショップ。

 8月9日

仏教会の教会でワークショップが始まる。30人弱。
シアトル市内にあるシアトル・ココン太鼓、ワン・ワールド太鼓、ノース・ウエスト太鼓、シアトル・マツリ太鼓、ユウシン太鼓の面々。
それにミッシェルの友だちの太鼓プロジェクトの女の子たち。
昨夜作った手製の太鼓が皆に行き渡っている。
良い感じ。
さっそく 太鼓のリズムを稽古。
やはり横打ちの叩き方は皆初体験で苦戦している。
さすがに若い子たちは順応力がある。
それでも皆のものすごい努力の結果少し足並みがそろってくる。
そこで手踊りをざっと当って昼。
午後手踊りから再開。
そして太鼓を着けて叩きながらの踊りに挑戦。
時間が経つにつれて段々皆の頭の中がパニック状態になってくる。
後半はかなりバテて来たのか表情が動かなくなっている。
最後の30分は床に座って口しょうがの稽古とする。
4時間の間に口しょうがを覚え、慣れない横打ちのリズムを叩けるように努力し、手踊りまで覚え、さらに踊りながら太鼓を叩く。
さすがに皆神経をすり減らしたようだ。
明日、脱落者が出なければいいが・・・若干心配がよぎる。
スタン・シクマ氏の家でシャワーを使わせてもらい1時間かけてドライブ。
ノース・ウエスト太鼓のパフォーマンスを見に行く。
小さな町の小さな盆踊りであった。
そーらん節や炭坑節が踊られていた。
その踊りの輪の中でさっきまでさんさ踊りで苦労していた彼女達が嬉々として太鼓を叩いている。
とてもアットホームな盆踊りであった。

 8月10日

ワークショップ2日目。
場所が変わって何時もココン太鼓が稽古場として使っている場所で。
皆少し落ち着いている。
リズムが昨日よりスムースに感じられる。
朝一番に皆に尋ねた。
「寝る前に踊りのイメージ・トレーニングをしましたか?」
「ハイ」と皆。
「それでは朝目を覚まして直ぐにまたイメージ・トレーニングをしましたか?」
皆「ハイ」
踊り方も良くなっている。
嬉しい。
それではということで踊りは4拍子に入る。
昨日のようなパニック状態からは確実に抜け出している。
嬉しいことに、昨日稽古の最後にはバテ切って「大変きつかったのでもしかしたら明日の朝ベットから起き上がれないかもしれません。その時は参加できないと思いますがお許しください」と言って帰って行った白人の中年女性が何と今日も参加してくれていた。
ただししばらくは彼女にミッシェルがつきっきり。
昨日少し当っていた笛の吹き手も順調。
少人数のグループで何度も踊り返す。
昨日ほどは疲れないよう。
3拍子、4拍子を続けて踊ってみる。
そしておかしこの役割を何人かにやってもらったりして色々なパターンで踊ることが可能になった。
大変だったけれど最終的に皆にとても喜んでもらえてこのワークショップ・ツアーの最後を飾ることが出来ました。


何時までも名残惜しそうに声を掛け合って皆さん中々帰ろうとしません。
私もようやく終わったという感慨に浸ることが出来ました。
そのホッとした気分で再びスタンのお家でシャワー。
5時過ぎ、太鼓プロジェクトのお友だちの家に行っていたミッシェルと合流して今日はワン・ワールド太鼓のパフォーマンスを見に行く。
今日はそのワン・ワールド太鼓の中心メンバー、ゲーリーとナンシーの家に泊めさせてもらうのです。
パフォーマンスを見た後、スタンたちと夕食。
アメリカ最後のレストランでの食事、何が良いかということで日本食にする。
食べたのは鉄火丼。
そしてパフォーマンスから帰ってきた頃を見計らってゲーリーとナンシーの家へ。
二人と夜2時頃までおしゃべり。

 8月11日

朝、マサエが迎えに来てくれて空港へ。
シアトルからサクラメントへ。
サクラメントからレンタカー、ミッシェルの運転で2時間かけてサンノゼに着く。
久しぶりのミッシェルの家。
何だか懐かしい。
落ち着く間もなく荷物の整理。
夕食にはユミとトゥリッシュも来てくれる。
最後の夕食と言うことでミッシェルのお母さんが腕を振るってくれた。

 

 8月12日

朝10時にミッシェルの家を出発。
いよいよ帰国だ。
空港にロイが見送りに来てくれた。
PJはお母さんが体調を崩したのでロサンゼルスに行ったとのこと。
心配ではあるが、大丈夫になったからとロイが気を使ってくれた。
そしてミーティングが始まるからと言うことで帰って行かれた。
ありがとうロイ。
搭乗手続きが済むといよいよミッシェルともお別れ。
1ヵ月半、私のツアーを滞りなく終わらせ、それだけではなく一緒にワークショップでみんなの面倒を見、パフォーマンスもし、自分達のパフォーマンスもこなしたミッシェル、本当にご苦労様でした。
かくて私はまた一人機上の人となり日本へと帰ってまいりました。
以上がツアーの全貌です。
語り尽くせないほどの体験をし、沢山の方とお友だちになりました。
心からの感謝の気持ちを持ってこの報告を終わらせていただきます。
お読みくださいまして大変ありがとうございました。

 

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