田沢湖町民会館音響設備概要

 

会館所在地    秋田県仙北郡田沢湖町生保内字武蔵野105-1

開 館      昭和55年10月17日

総工事      790,777千円

内音響設備工事費  25,500千円

施 工      松下通信工業株式会社

事業費の内訳

県補助金            60,000千円

町債(地域総合整備事業費)  504,200千円

財政調整基金繰入金       72,000千円

一般財源           154,777千円

 

舞台音響設備工事(平成6-7年度)

設計 久慈設計株式会社

施工 北日本通信株式会社

平成6年度 舞台音響設備(入力系)工事

設計委託          927千円

工事費         22,660千円

 計          23,587千円

財源内訳

水力発電周辺地域交付金 20,000千円

一般財源         3,587千円

平成7年度 舞台音響設備(出力系)工事

設計委託         2,637千円

工事費         27,563千円

 計          30,200千円

 

財源内訳

水力発電周辺地域交付金 22,000千円

まちづくり基金繰入金   5,000千円

一般財源         3,200千円

 

旧音響システムに関する問題点

  1. 当会館建築音響は、音響設計の専門家が介在せず設計されたということもあって、問題が多い。
  2. 拡張性のない閉鎖的なシステムである。
  3. 旧ホール規格に準じた設計であるため持ち込み業者との整合が取れない。
  4. 十分な音圧、明瞭度を確保できるだけの絶対能力に不足する。
  5. 中核となるミキサーがあまりに貧弱であるため、入力の拡充、アウトボードの増設、出力の増設、いずれにも対応できない。
  6. 絶対的な回線数不足。
  7. 脆弱な機能に比べ、全体を把握するのはめんどう。
  8. 急激なメディアの増加に対応できない。

以上の問題点を踏まえての改修コンセプト

  1. システムの全体に渡って、ロード用機材との整合性を取ること。
  2. 市販品に同等品があるパーツは工事しない。
  3. システムの中核たるミキサーはロード用ミキサーと同様の機能で高音質のものとする。
  4. 高い自由度と運用性を確保する。
  5. 最初素人でも最後はプロ、委託の場合は最初からプロ。
  6. 建築音響上の欠点を極力回避するべく、ベストなスピーカープランを取る。
  7. 最終段のアンプ直前まで、高いプログラムレベルを維持する。
  8. 複雑なシステムも個別には単純化可能。逆に単純な機材を自由に複雑に運用できること。
  9. ロードで所定の性能を確保できているシステムは、設備であっても有効。無用な工事を廃す。
  10. 設備寿命よりは、個々の機材の陳腐化のスピードの方が早い。よって、むやみな長寿命よりは維持管理、メンテナンス、差し替えを重視。
  11. メンテナンス業者が如何にサービスを誇っても、行事の大概はサイービス時間外。自力回復能力が重要。
  12. 万一の技術者確保が出来ない場合でも最低限以上の仕事が出きるように簡易システムを用意する。
  13. 今後求められるメディアをカバーする。
  14. 本線系は安全度を優先してデジタル化はしない。

工事の成果

  1. 一般的な音響工事相場(1〜3億程度)からすると、大幅な低コストでの工事が出来た。
  2. ほとんどの重要な信号ポイントで、市販品による接合を行っているので、自由度の高いシステムプランを組むことが可能となった。
  3. 客席向け総出力は12,000Wにも及び、かつ高効率であるため、客席内のあらゆる場所で連続110db程度を安定的に確保できた。
  4. ステージモニター出力は8,000Wを確保し、自由な組み合わせで各種モニタープランを組むことが出きるようになった。
  5. メインスピーカーは大臣柱から3m程度舞台内側に入っており、建築音響上の欠陥を回避し、フライングプランとしたので、会場全体に渡って十分な明瞭度、音楽に十分な帯域を確保できた。
  6. 舞台制作に十分な録音機材等の充実が出来た。
  7. 機材、システム全体の見通しが良くなり、ロードの技術者とのコミュニケーション、技術支援の依頼容易になった。
  8. シンプルかつ明瞭なシステムにより音質が圧倒的に向上した。
  9. 巨大システムとしてのメイン機材を立ち上げることなく、簡易システムによって幅広い運用可能となった。
  10. 客席後壁並びに鳥屋口の通路部分に吸音カーテン処理を施したため、定在波等による悪影響を相当回避できた。
  11. トータルとしては、機材の厳選により、幅広く利用者の要求に応えられる自由度と懐の広いシステムとなったと考えられる。

依然残る問題点

  1. 予算上十分な手当てが出来なかった機材等もある。(今後年次計画で充当の予定)
  2. 建築音響上の問題はそのままである。(相当の経費が掛かるため今後当分は改善は難しい)
  3. 他の機械設備からの騒音等が甚だしい。NC値40。(空調設備の改修工事計画あり)

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