　　外　科　

　DEPARTMENT OF SURGERY

　消化器外科・呼吸器外科・乳腺甲状腺外科・一般外科

４月より角館町の検診で肺がん検診を当院で行うことになりました。

秋田県で初めて導入したマルチスライスＣＴによる肺がん検診です。

申込み・問い合わせは54-2111（総務企画課）まで！！　

　

お知らせ！（It's new!）

　2003年５月より、外来担当医師が変わります。木曜日の診察が、籾山医師から伊藤医師に変更になります。また、火曜日の「処置」（傷の消毒など）は伊藤医師・木曜日は藤村医師が行います。
　
診療日と担当医師

曜　日

月曜日

火曜日

水曜日

木曜日

金曜日

担当医師

伊藤良正

藤村直幸

伊藤良正

伊藤良正

藤村直幸

藤村直幸

伊藤良正

藤村直幸

藤村直幸

伊藤良正

赤色の外科1診では一般診察を行います。

青色の外科2診では主に処置（傷の消毒など）を行います。こちらは10時に終わりますので、早めに受診して下さい。
　
　

　

ドクター紹介

私たちが診療させていただきます。どうぞよろしくお願いします。

伊藤良正：外科科長・秋田大学医学部昭和60年卒業・平成11年7月より勤務

藤村直幸：手術室長・秋田大学医学部昭和63年卒業・平成14年4月より勤務

当院外科の診療内容

消化器外科

　消化管全般の病気の外科治療を行います。当院消化器内科（第１内科）や、開業の先生からの紹介で外科を訪れる患者さんが多いようです。病気の状態や進み具合に応じて、内科で治す方が良いか、外科で手術を行った方が良いのかを話し合い、患者さんや御家族の希望も取り入れながら、それぞれの患者さんにベストの治療を検討しています。以前は外科手術しか治療方法がなかった病気が内視鏡を使って内科で治療出来るようになりましたし、手術技術や機器の進歩のおかげで治るようになった病気もあります。日々進歩する技術と知識を取り入れて、常に最新・最高の外科治療を地域の皆様に提供できるよう努力しています。

　具体的にどのような治療を行っているかをご紹介申し上げましょう。消化管は食道から肛門までの長い管です。そこに腫瘍（できもの）が出来ると食事が通らなくなりますし、炎症（腫れ）が起こると痛みを感じるようになります。腫瘍には良性腫瘍と悪性腫瘍（＝癌）とがあり、外科で手術を行うのは圧倒的に悪性腫瘍に対してが多く、大部分が大腸癌と胃癌です。どちらも早いうちに見つかれば内視鏡（カメラ）で切り取れます。病状が進むと、癌だけを切り取ったのでは再び癌が生えてくる（再発）可能性が高くなりますので、やや広く切り取ることが必要になってきます。こうなると外科で手術を受けていただくのがベストということになります。

　炎症（腫れ）の代表格は何と言っても虫垂炎でしょう。一般に「盲腸」と言われていますが、虫垂と盲腸は別の部分の名称なので、「虫垂炎」が正しい呼び方です。先ず抗生物質で切らない治療を行い、薬で治らないような場合に手術治療を選択しています。手術時間は約30分。虫垂炎を何度も繰り返すような場合にも手術を行います。

　消化管には消化液を出す器官が附属しています。肝臓・胆嚢・膵臓です。肝臓は胆汁を作り、いったん胆嚢に貯めます。膵臓は膵液を作り、主に脂肪の消化吸収を助けます。この領域で最もポピュラーな病気が「胆石症」です。

　胆石症には胆嚢の内に石がたまる「胆嚢内結石症」と、胆嚢から消化管（十二指腸乳頭）まで胆汁が流れる管に石が出来る「総胆管結石症」とがあります。大部分は前者ですので、胆石症と言えば一般的に胆嚢内結石症のことを指します。「天ぷらのような油っぽい食事の後にお腹の右上が痛む」というのがよくある症状で、体や白目が黄色くなる「黄疸」を合併することがあります。石を胆嚢ごと切り取るのが根本的な治療で、お腹を大きく切らずにお腹にあけた小さな孔から差し込んだカメラの画像を見ながら、いろいろな種類の専用の鉗子類を使って行います。開腹手術に比べて術後の痛みはうんと小さいですし、食事開始や退院も早いです。ふつう手術翌日から食事が始まり、2・3日後には退院可能になりますが、抜糸まで1週間程度入院される方が大部分です。

　胆嚢がなくなっても消化機能に大きな影響はありません。胆石症は膵臓とも密接に関連しています。胆石症から膵炎が起こると非常に危険です。胆石をお持ちの方は是非外科外来を受診してみて下さい。症状のない胆石（「無症候性胆石症」と言います）には、定期的な超音波検査がお勧めです。所要時間はわずか数分です。胆石の性質によっては症状が無くても手術した方が良い場合がありますが、大部分は経過観察でじゅうぶんです。

　膵臓にできる石の多くは飲酒に関連しています。膵臓が作る膵液は蛋白質・脂肪を強力に分解します。この消化液の流れが乱れてると、膵臓やその周辺が消化され、傷むことがあります。これが膵炎です。膵臓はお腹の一番奥にありますので、背中に痛みを感じます。重症膵炎ともなりますと、これは膵臓だけのコントロールでは治らない全身疾患です。ですから治療が難しく、消化器外科学の重要な研究テーマのひとつでもあります。おおまかに膵炎の軽いものは内科で、重症のものや膵臓が腫れてくるような場合は外科治療が必要かと思います。

　以上のように、肝臓・膵臓・胆嚢・総胆管は密接に関連していますので、「肝胆膵」とセットにして扱うことが多いです。しかも重要な血管が交錯する場所でもありますので、この領域の腫瘍の外科治療は困難なことが少なくありませんでした。これもまた消化器内科と一緒に検査を進めていきますし、当院放射線科に最近導入された、最新の高精度・高速度の「マルチスライス・ヘリカルCTスキャン」が最も力を発揮する場面でもあります。その結果、正確に病気の状態がわかるようになり、新しい手術機器を積極的に使用し、安全に手術が出来るようになりました。

　手術が出来ない場合には、通りが悪い部分を拡げたり、ステントという特殊な金属で作った筒型の網を入れたりする治療を行います。これによって食事ができるようになったり、外泊や退院が可能になったりしますので、病気のために入院生活を続けなくてもよくなります。つまり、患者さんの生活の質（QOL:Quality of Life)を確保するためには、むしろ手術以外の治療法を選んだ方が良い場合がままあるということです。これを「姑息的治療」といって、ステントもこうした治療のひとつです。

　ですから、外科治療全般に言えることでもあるのですが、治療方法をお医者さんに「おまかせ」するのではなく、患者さんご自身が「どうしたいか」をもっと語ってほしい、相談してほしいと、いつも思っています。

　ある病気に対する治療方法は、決してひとつではありません。それぞれの治療法には必ず「メリット（よいところ）」と「デメリット（わるいところ）」とがありますので、よく先生や看護婦さんの話を聞いて、必ず得た情報をじゅうぶんに理解した上で（これには患者さんご自身の積極性と努力が欠かせません。大変かと思いますが、どうかよろしくお願いします）、ご自身にとっての最良の治療方法は何なのかを考えてほしいのです。これが「インフォームド・コンセント」です。日本語では「説明と同意」などと訳されることもありますが、今ひとつしっくりしないので、ふつうは英語のまま使われています。場合によっては手術を行わないのがその患者さんには最良の選択かもしれないのです。

　いつも患者さんにお話しているのですが、外科治療は患者さんが、御家族やドクター・ナースをはじめとする医療スタッフと一緒に、共通の敵に対して展開する共同戦線だと考えています。病気にかかって、手術が必要ということになると、患者さんは皆かなり心細くなるのですが、治療は決して患者さんの孤独な戦いではないということを特に強調しておきたいと思います。ドクターとナースが、いつも患者さんの傍らにいることを、どうかお忘れなく.......。

　

呼吸器外科

　この分野での主な病気は気胸と腫瘍（肺がん）です。（自然）気胸は若い男性に多く、突然の息切れや胸の痛みで始まりますので、心筋梗塞や胆石発作の痛みとまぎらわしいことがあります。肺に孔があいて空気が漏れ出した状態で、聴診と胸部レントゲン写真で診断します。肺の縮み方が大きい場合は、胸に細いチューブを入れて（部分麻酔を使うので痛くありません）空気を抜きます。2・3日経過しても空気の漏れが続く場合は手術を行うのがよいでしょう。孔が空いて傷んだ肺の一部を専用のカッターで切り取ります。カメラで行う場合(VATs: Video-assisted thoracoscopic tachniques)と、小さく胸を開いて行う場合があります。繰り返し気胸になる場合も手術をした方が良いです。

　肺がん診療でも「マルチスライス・ヘリカルCTスキャン」が存分に威力を発揮します。それまでは見過ごされていたような小さな初期の肺がんが見つかるようになりました。肺がんは手術で治りやすい「がん」ですので、このような早期発見が特にたいせつなのです。当科では、秋田大学第二外科（胸部外科）との密接な協力関係のもとに適切な治療を提供します。呼吸器外科学が専門の小川純一教授の外来診察（2ヶ月に１回）もございますので、詳しくは外科外来にお尋ね下さい。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　

　

一般外科

　下腹の壁にはもともと弱い部分があります。ここから腸などが脱出する状態が鼠径ヘルニア（脱腸）です。大きなものは、子供の頭くらいになることがあります。押さえると引っ込みますが、お腹に力を入れると再び脱出してきます。唯一の治療は手術療法です。脱出したまま戻らなくなったのが嵌頓ヘルニアで、すぐに手術が必要です。そのままにしておくと腸が傷みますし、非常に強い痛みがあります。鼠径ヘルニアはなるべく早く手術することをお勧めします。当科では病状に応じて手術方法を選んでいます。専用のポリプロピレン・メッシュを使い分け、弱くなった部分を補強します。これは手術後約2週間で身体になじみ、力仕事やスポーツができるようになります。手術時間は約30分。麻酔方法には局所麻酔・腰椎麻酔（半身麻酔）・全身麻酔があります。最近は痛みや不安感のない全身麻酔を選ばれる方が多いですが、心臓や肺が悪い場合には局所麻酔が一番安全です。痛みがなければ2～3日の入院期間で治療可能ですが、やはり抜糸まで約1週間入院される方が多いようです。

　子供さんの鼠径ヘルニアの発生メカニズムは大人とは全く異なります。1歳を過ぎて自然に直ることは少ないようです。全身麻酔で治療します。手術時間は約15分で、通常は1泊入院で十分でしょう。

　お尻の病気で人知れずお悩みの方も少なくないのではないでしょうか。そのなかでも俗に「いぼぢ」と呼ばれる内痔核が一番多いでしょう。肛門は、お尻の皮膚と大腸の粘膜がつながる大切な部分で、血管がたくさん走っています。座り仕事や、重い荷物を持ち上げる仕事が続きますと肛門の近くに血液がたまります。そうすると静脈が増えて塊（かたまり）をつくるようになる、この状態が「内痔核」です。また、便秘がちな方では排便のたびにお腹に力を入れますから、同じように肛門近くに血液が集まって「内痔核」にかかりやすくなります。

　症状は出血と痛みが主なもので、内痔核が大きくなると肛門から外に脱出してきます。軽いものは座薬や飲み薬で様子を見ます。便秘にならないような工夫や肛門周囲の清潔にしておくことも大切です。肛門から出てくるような進んだ状態では手術を考える必要があります。肛門周囲を中心とした下半身だけの痛みをなくす麻酔をかけ、状態に応じてハーモニック・スカルペル（超音波凝固切開装置）等の手術器具を使い、腫れずに痛くない手術を工夫しています。

　ひとつ注意が必要なのは、「大便の時の出血」は決して内痔核だけの症状ではないということです。直腸癌からも出血します。「いぼぢだと思って病院に行ったら直腸癌だった」というケースも珍しくはありません。肛門から出血した時は、決してご自分では判断せず、必ず外科外来で相談してください。

　

血管外科

　下肢静脈瘤は妊娠後の女性や、立ったまま・あるいは座ったままの状態での長時間作業をしている方に多い病気です。静脈の逆流防止機構が壊れて脚の血管が浮き出た状態で、医療用ストッキングをはけば進行はおさえられますが治ることはありません。女性に多く、見た目が悪いので初期は美容的に問題になります。少し病状がすすむと脚がだるくなり、更にすすむと皮膚が硬く黒くなってきます。道具を使わない簡単な理学検査と、場合によっては外来で静脈造影検査を行って病気の進み具合を判定します。治療は

�部分麻酔で皮膚を数mm切開し、腫れた血管を引き出して切除する

�硬化剤（ポリドカノール）を血管内に注入し、腫れた血管をつぶす

の組み合わせで治療します。必ずしも入院の必要はなく、外来通院で治療可能ですが、脚の付け根の静脈の処置が必要な場合に、安全確保のため1泊入院をお願いすることがあります。治療後は約1週間、弾力ストッキングを使用して頂きます。また、すでに皮膚が硬く黒くなっている場合は表面の静脈全部を取ってしまう方がよいことがあり、この時は入院してもらって全身麻酔で手術しますが、これが必要なのは全体の数パーセントに過ぎません。

乳腺・甲状腺外科

　乳癌は女性の皆さんが御自分で診断できる「癌」です。湯船につかった時などに、定期的に御自身のお乳を触ってみて下さい。つかむように触るよりも、指の平で軽く圧迫するように触った方が良いでしょう。普段から触っておけば、「しこり」を触れた時に、これが最近になって出来たものかどうか判断できます。

　ふつう、乳癌の「しこり」に痛みはありません。岩のように硬い、ごつごつした形の「しこり」ですが、必ずしもそうならない癌もあり、御自分で判断してしまうのは危険です。お乳の「しこり」に気づいた時は、必ず外科外来においで下さい。マンモグラフィー（お乳をレントゲンの機械にはさんでＸ線写真を撮ります）と超音波検査（お乳の表面から超音波を使って、魚群探知機の原理で「しこり」の性質を診断します）の、全く痛くない検査で８割方は診断出来ます。最終的には「しこり」の細胞を採取して顕微鏡で見て診断します。

　治療：以前は乳腺全体を筋肉ごと切り取っていましたが、現在は「温存手術」を主に行っています。筋肉を温存すると、手術後の腕の運動に支障がありません。更に乳腺を温存すれば美容的にも優れます。ただし、病気の進み具合や、場合によっては患者さん御本人の思いによって手術術式は異なります。乳癌治療では特に「インフォームドコンセント」が重要です。十分に納得された上で、出来れば他の病院の先生の御意見も参考になさって、悔いのない治療を行いましょう。

　なお、乳腺を温存された場合は、残った乳腺への「放射線照射」が必要です。１回数分で済みますが、病状によりますが、大体20回くらい行います。あいにく当院に設備はございませんので、協力関係にある秋田大学附属病院にお願いしています。

　切り取った癌を詳しく調べて、その結果必要であれば。抗癌剤の他に「抗ホルモン剤」等を使用します。最近話題になっているモノクローナル抗体（HER2・ハーセプチン）を使用した治療も行っています。乳癌治療に使う薬には、たくさんの種類があります。当科では、それぞれの患者さんの病状に応じたメニューで治療をしています。

さいごになりましたが.....

　話をわかりやすくするために、思い切って単純化しました。それで間違って理解されてしまうことを一番心配しています。ですから、あれこれ考えお悩みになる前に、お気軽に外科外来の扉を叩いてくださいますよう、最後にお願いします。それでは、外科外来でお会いしましょう..........

　

　Written by: 藤村直幸消化器外科　

最終更新日　平成15.04.16　　

診療日と担当医師
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担当医師	伊藤良正	藤村直幸	伊藤良正	伊藤良正	藤村直幸
藤村直幸	伊藤良正	藤村直幸	藤村直幸	伊藤良正