Glatorian Legends

破壊された世界の、真実へ。


それは、起こりえた最悪の可能性。
以前ブラザーフッドを統制していた男は、己の部下にこう言い放った。
――そう、後に世界を恐怖に陥れる、邪神に――


「貴様はグレート・スピリットを攻撃する為に、何を使うつもりだ?
 貴様の“暗黒の手”か?
 それとも、無数のラクシ達か?

 所詮貴様は、マタ・ヌイの手の平で生かされている虫ケラに過ぎん・・・!」



初めて“彼”がその支配欲を表面化させたあの時に、かつての主からその言葉を受けて、
もはやどのくらいの刻が経ったのだろうか。
“彼”は今、グレート・スピリットの巨大な体躯を我が物としていた。


――己の中に存在する、彼がかつて護ろうとしていた世界すら――





トーア・ヌーバ達がカーダ・ヌイにて嵐を再び発生させてマタ・ヌイを復活させた。
しかし、“彼”の魂は、スピリットの魂がその体に戻る前に、その身体を支配してしまっていた。
もはや、刻既に遅し。本来の持ち主ではない魂を宿して、その巨体は動き始めた。

その眼は、優しい光を宿した
緑色から、邪(よこしま)なる意思を顕すかの如きへと変わり。
その声は、世界を見守る柔らかな父の声から、情などを理解し得ぬ魔物の声へと変わった。


孤立してしまったスピリットの魂を命のマスクに封印し、自らの身体から追い落とした“彼”は、
最早完全に己のものとした世界へ、己の声を響かせた。


それは、笑い声。
不協和音ですらない、聞いた者を狂気へと誘う戦慄の旋律。





“彼”の名前は、マクータ テリダックス。
闇の支配者、暗黒への使者、そして邪神。


世界は、闇に支配された。























テリダックスによって宇宙へと発射されたマスクごと、彼の魂はこの地に墜落。

そこは、バラ・マグナ。
世界から追放されたスピリットは、己の故郷とも言うべき世界へと辿り着く。


マスクの中で覚醒した彼の魂は、意思を持ち始める。
まるでその思いに共鳴するが如く、マスクは本能から周囲の砂と有機物質を結集させ始める。
それら屑達は、次第に人の形を作り出していく。

黄金色の光が辺りを包み込んだ後。
そこには、命のマスクを装着した、黄色い体躯の男が立っていた。
彼の眼は、色こそ違えど、以前と決して変わらぬ目付きをしただった。




そんな彼は、その直後に一匹のカブトムシと出会う。
以前の彼のような緑色の眼をしたその一匹は、マタ・ヌイに懐く。
後に“クリック”
と名付けられる彼は、ひょんな事からマスクに接触した。

その瞬間、彼の身体は光に包まれ、奇妙な形をした盾へと変化した。
そして正面には、その姿になってもスピリットを見つめ続ける無垢な瞳が残っていた。

遭遇したヴォロックスの襲撃をなんとかその盾でやり過ごした彼は、
とうとう完全にクリックに懐かれてしまっていた。





そこへ通りかかる、一台の車両。
乗っていた運転手は、武器を片手にスピリットに問う。



「何者だ、アンタ?」











そして彼は答えた。
己の、名を。





「・・・私の名前は―――



          ―――トーア マタ・ヌイだ」













偶然辿り着いた己の故郷で。
彼は驚くべき真実と、新たな敵と―――そして、初めての“親友”に出会うこととなる。




マタ・ヌイ/Mata Nui
カノイ:イグニカ(生命を操る)
武器:スカラベ・シールド、ソード、ソーナックス・ランチャー
部族:特になし

マトラン・ユニバースを守護していた部族主神。
落ち着いた性格をしており、常に冷静沈着。
当初は新しい身体に慣れていなかったせいもあって敗北しそうになったこともあったが、
完全に慣れてからは、本来備わっていた驚異の戦闘能力を見せる。


「私は戻らねばならない。闇に支配された、私の民達を救う為に」
「私達は、共に戦う!!」
「仲間達よ。――私たちの冒険は、まだ始まったばかりだ」


神として人生を生きてきた為、今まで友人というものを一人も持っていなかった。
その為か、アッカーに対して厳しい態度に出ることも少なくなかったが、
冒険の中で、いつしか彼との間に強い友情が出来上がっていくこととなる。



アッカー/Ackar
武器:フレイム・ソード、ソーナックス・ランチャー、シールド
部族:炎

この世で最初に生まれたグラトリアン。
圧倒的な戦闘能力と戦術を誇り、ボーンハンター数人を相手にしても全く引けを取らない。
しかし老化によって以前より衰えているらしく、彼自身は炎部族に対して焦りを感じている。
ちなみに彼自身の年齢は、推測するにおそらく中年あたりだと思われる(人間換算)。


「大切なのは、戦いに勝つことだ。美しい武器を振るうことじゃない」
「やめろストラック!お前の相手は俺だ!」
「マタ・ヌイ、頼みがある・・・“親友”として、俺たちを助けてくれ・・・」


ストラックとの試合にて、彼の違反攻撃によって戦闘不能に陥るが、
試合を観戦していたマタ・ヌイの乱入によって、あわやというところで救われた。
以降、彼をよく行動を共にするようになる。




キイナ/Kiina
武器:ヴァイパー・トライデント、ソーナックス・ランチャー
部族:水

水部族のセカンド・グラトリアン。
グラトリアンとしては珍しく女性でありながら、その実力は高い。
戦闘ではその身軽さを利用したスピード戦を得意とする。


「マタ・ヌイ、私が貴方に協力するのには条件があるわ。・・・私を連れて行きなさい!」
「この子の名前・・・“クリック”でいいんじゃない?」
「このバカ!・・・どれだけ心配したと思ってんのよ・・・」


ハイテンションな性格で、やんちゃな若い女性。
そのマイペースさが災いして交友関係は広くないが、仲間に対する想いはかなり強い。
アッカーやグレッシュとは以前からの友人であり、歳が近いグレッシュとは特に会話が弾むようである。

バラ・マグナという崩壊した世界から出て行きたいらしく、マタ・ヌイが帰還する時に一緒に連れて行くことを約束させる。
またクリックの名付け親でもある。



ヴァスタス/Vastus
武器:ヴェノム・タロン、ソーナックス・ランチャー
部族:密林

密林部族のプライム・グラトリアン。
突き刺した相手に毒を注入して麻痺させる「ヴェノム・タロン」を主武装としており、
その槍術は他の追随を全く許さない。

「何でボーンハンターの居場所が解ったのかって?
  簡単な事さ。―――私がもしボーンハンターだったなら、真っ先にそこに隠れるからね」

戦闘においては、相手と自分の状況を重ね合わせて、次に敵がとるであろう行動を読む戦法をとる。
また純粋な戦闘能力も高く、彼が密林部族のプライム・グラトリアンである証明となっている。

過去の大戦「コア・ウォー」にて多数の命を犠牲にした事に責任を感じており、
その罪滅ぼしなのか、密林部族の為に熱心に行動している。
(彼自身が殺害したのか、指揮官としての責任なのかは不明)



ゲル/Gelu
武器:アイス・スライサー、ソーナックス・ランチャー
部族:氷

かつて、氷部族のセカンド・グラトリアンだった男。
己の仕事、“戦闘”をあまり好んではおらず、仕事には極めて消極的だった。
安全な仕事を求めてはいるが、悪人ではなく、助けを求める者がいれば駆けつける。

ぶっきらぼうな性格で、社交的とは言えない。
世界は自分を中心に動いていると考えているフシがあり、自己中心的な面も。
また、彼は前金として、相手から先に報酬を半分だけ受け取っておくというやり方をとる。

スクラールがアリーナを占拠した直後、仕事への危険を感じてグラトリアンを辞職。
現在は、貨物輸送のガードマンとして生計を立てている。


ストロニウス/Stronius
武器:ソーネッド・クラブ、ソーナックス・ランチャー
部族:岩

岩部族の特殊部隊に属するスクラール族の男。
恐るべき戦闘能力を持ち、その実力は他の者を遙かに圧倒する。
巨大なトゲ付き棍棒を獲物とし、その怪力を活かした白兵戦を得意とする。

「歴戦の戦士は、己の武器を決して手放さぬものでな」
「俺には、主の命を守護するという使命がある。そう、お前の命だ――トゥーマ」

その実力の高さと功績から、トゥーマが唯一砕けた口調を許す希有な人物である。
またその態度とは裏腹にトゥーマに対する忠誠心は高く、彼の実質的な右腕として活動しており、
トゥーマ自身も彼に対しては絶大な信頼を置いている様子が伺える。