医療所の385号室。
病室のベッドに、ファイナとロサダは横になっている。
あたり一面凍り付くような沈黙が続いている。
椅子に座り、下を向いているイオリス。
一体何を考えているのか。
ファイナ「あの・・・・」
イオリス「・・・・ん・・?」
ゆっくりと頭を起こし、首をゆっくりと捻るイオリス。
どうやら、唯単に眠っていただけらしかった。
ファイナ「さっきから気になっていたんだけど・・・・。」
イオリス「何だい?」
イオリスは、無表情な顔のままで言う。
ファイナが続ける。
ファイナ「どうして貴方は、あの時使ったように、そんな力を使えるの・・・?」
イオリスが、手に顔をうずめる。
「参ったな・・・・。」と一言。後はため息だけだった。
状況を察したのか、ロサダが横になったまま喋る。
ロサダ「単刀直入に聞こうか。おい、あんさん。」
ロサダの言葉を聞いてはいるらしいが、返答は無い。
少しの沈黙の後、ロサダは口を開いた。
ロサダ「あんた・・・・スピリットかい・・・?」
ファイナ「スピリット・・・?」
ファイナが、首をかしげて呟く。
イオリス「・・・・・お嬢ちゃんには、分かるはずもない言葉だよ。」
さっきまで黙っていたイオリスが口を開く。
この言葉で、男の返答を「YES」と見たロサダは、ため息をつく。
そして、一言。
ロサダ「安心しろ、俺もそうだよ。」
言葉を聞いた途端、イオリスが驚きの表情で顔を上げる。
ファイナは、その顔に少しの安心感を読み取ったような感じがした。
一体、この人とロサダに何があったというのか。
イオリスは、少し微笑みながら口を開いた。
イオリス「あんたもかい・・・・。それはそれはご愁傷様だな。」
すぐさまロサダから「お互い様だ。」と返答が返ってくる。
「ねぇ・・・・ロサダ・・・?」
ファイナがロサダに話し掛ける。
「どうした?」と返ってくる。
ファイナ「スピリットって、何?」
沈黙。
まるで、時が止まったかのような沈黙。
僅か1,2分だったが、ファイナにしてみれば1時間以上経ったような感じだった。
しばらくして、ロサダが沈黙を破る。
ロサダ「・・・・・・・・・説明してやるよ。」
ロサダが体を起こし、ベッドに座り直す。
ファイナも、真剣な目で話しを聞こうとする。
しかし、次の瞬間ロサダの口から出た言葉は、
彼女を一瞬混乱させた。
ロサダ「スピリットってのは・・・・化け物だよ。」
ファイナ「・・・・・・え・・・・?」
能力 終