第二十五章「」

「し、師匠・・・!」


片手に大剣を持った灰色の男。
ロサダと同じマスクを着けているその男は、五人を優しい眼で見る。



「・・・良い仲間を持ったな、ロサダ」



優しい笑みを浮かべ、優しい口調で呟くノックス。
大剣をクルクルと器用に回しながら、のたのたとした足取りで部屋のドアを開ける。










「・・・来いよ。・・・アンタ達の絆に免じて、
 俺からのとっておきのプレゼントをやるぜ♪」




ノックスを含めた六人が向かった先は、アルバ・カテル本部南にある資料室だった。
別にそんなに珍しい部屋でもない。資料室ならココを含めて本部の東西南北に1つずつある。
棚には、今までアルバ・カテルが終結させた事件や災害などの資料がぎっしり。


ファイナやイオリス、ヴェイルはココに来たことがなかった。
あまりにも広い部屋と、その部屋いっぱいの巨大な棚に目を奪われている。
まるで何処かの巨大な博物館の資料室のようだった。



急にノックスが一冊の本を手に取り、ページを開く。
開いたページは295ページ。
そのページの真ん中に、デカデカと謎の文字のようなものが描かれていた。











何かのシンボルだろうか。
そんな疑問を抱く間もなく、ノックスは指でそのマークをなぞる。
見ている限り、なぞる順番もあるらしい。

最初は左上から右下へ一本。
次にその少し下に右下から左上に一本。
そしてその一本の左上に一本。
最後に、一番最初の一本にもう一本を加える。




その瞬間、本からブザーのような音が鳴った。
どうやらあの文字は何かの装置を軌道させるためのセンサーだったらしい。












いきなりだった。
部屋の一番隅の本棚が音を立てて回転、移動し、その奥から銀色の分厚そうな壁が現れたのは。


その壁の真ん中にも、あのマークが刻まれている。
そしてそのすぐ下に、暗証番号を入力するものと思われるボタンと黒い画面があった。


ノックスが、素早くボタンを押した。
その瞬間、ピーという音が鳴り、その壁が中央から割れて左右に消えていく。








その奥には――――闇。





「・・・・あ・・・!?」




イオリスが思わず声を漏らす。
何故なら、そこは本当の「闇」だったから。
そこには光が全くなく、本当に何も見えなかった。
そこには、ただ真っ黒い空間が広がっているだけ。
パッと見、真っ黒いポスターか張り紙を壁にバンと貼ったような感じだった。


「行くぞ」

ノックスが扉へ進んでいく。
しかし、ロサダ達は途惑う。
本当に「何も」見えない。つまり「床」すら見えない。
もしこの真っ黒な空間に足を踏み入れた瞬間、黒い奈落の底へ堕ちていったら―――?






しかし、ノックスはその闇の中を歩いて進んでいく。
どうやら「床」はあるようだ。
それに続いて闇の中へ入っていく五人。






しかし、あまりにも暗いため、あっという間にノックスの姿は闇に消えた。
再び途惑うロサダ達だが、ノックスが前に進んで消えた事を気付き、彼に続いて前に進んでいった。























「暗黒」完