第十四話「招待」

「・・・・しゃしゃしゃ・・・しゃむいよぅ・・・はゎゎゎゎ・・・」
ファイナが震えている。

それもそのはず、ここは大陸でも北の方にあるニンギル地方の雪原。
イオリスも少し寒そうだが、これといって苦にしている様子は無い。
ファイナが「ろろ・・・ロサダ・・な・・なな何でこんな寒いところになんか・・・きき来たの・・・?」と聞いてくる。



そこでロサダが不敵に笑った。
ニヤリ・・・と。ニコッ・・・ではなく、ニヤリ。と。



「・・・多分、お前らビックリするぞ?」


ファイナはそのロサダの顔を見て不安がり、
イオリスは何かを期待しているような、ワクワクしているような笑顔を見せ、
ヴェイルは何が何だか解らないような顔をして、




レルクは、ロサダの笑みで全てを悟ったように、不敵な笑みで返した。







「皆様、お待ちしておりました」
雪原の真ん中で、白いマトランが手を胸の下に下げて会釈する。

それにつられて、とりあえず頭を下げるファイナ。
ヴェイルも軽く頭を下げ、
レルクは「ども」の一言、
イオリスは会釈を返すかのように行儀良く、同じように手を胸の下に下げて更に頭を下げる。


ロサダが「じゃ、早速頼むな」と優しく言う。
マトランが「どうぞこちらへ」と皆を導く。







「この辺りの地面は永久凍土で、一年中寒い地域です」

マトランが観光的に説明する。
唯一まじめに聞いているのはイオリスのみ。
あとは寒さに震えてるファイナ、銀世界に見とれるレルク、黙々と歩くヴェイル。
そして先頭に立って歩くロサダ。




「・・・・ありました」

マトランが、急に立ち止まって呟く。
レルクとロサダを除く3人が「え?」というような表情をしている。

そこには・・・・変なモニュメント。











目のような形の石版みたいなものが、雪原の地面にすっぽり埋まっている。
ロサダとレルク以外の一同、内心。











「・・・・何だこれ」











そうしている間に、マトランがモニュメントに屈み込み、真ん中の3つの凸の中心に手を置く。
その瞬間、相変わらずの2人を除く残りの3人は驚いた。

石か何かだと思っていたモニュメントから機械音のような音がし、
続いて「認識完了・ロックヲ解除シマス」と感情の無い声がした。





石版がどんどん形を変えていく。
そして―――








―――――穴。




マトランが「さぁ、ここから中へどうぞ」と皆に促す。
かなり大きい穴だ。何があるか解らない。


すると、ロサダとレルクが躊躇いもなく穴に入った。
コツコツと足音が聞こえる。中に階段があるようだった。

そしてマトランも穴に入っていってしまった。






意を決したファイナが、穴に入り、地下へと続く階段を降りる。
それに続いてイオリスとヴェイルも階段を降り始めた。



コツコツ・・・コツコツと、少ずつ前に、そして下に進んでいる事が分かる。
しかし、灯りは壁にあるほのかなランプのみで、あまり明るいとはいえない。






そして、階段を降りきった。
目の前にあるのは――閉ざされた扉と、その横にある、小さな箱のような装置。


マトランがその装置に手を触れる。
さきほどと同じように「認識完了・ロックヲ解除シマス」の機械音声。











扉が開く。自動的に。
その明いた扉の奥にあったのは―――























白銀の部屋だった。


















ロサダが振り向いて――――ファイナ達に一言、言った。













「・・・・・・・ようこそ。
      アルバ・カテル本部へ―――」













「招待」完