元気主義
みつひろ
 

門脇光浩主義
20年以上にわたって勤務した村役場を退職し、県議会議員となった門脇みつひろ氏。 他人の目には「安定した身分」に映る公務員という職を捨て新たな道を選んだのであるが、彼をそこまでにかき立てたもの、熱くさせたものは何なのだろうか。 「人間・門脇みつひろ」の全貌が、そして魂が今ここに明かされる!

大きな変革の時だからこそ、
「新しいコミュニティ」を創るには 既存の枠組みから離れた活動が必要なんです。
◆公務員という身分を捨ててまで県政改革を目指した姿は、傍目には無謀とも映ったのですが…?
今私たちのまわりには大きな潮流が押し寄せてきていますよね。
それは「変革」とい う名の大きなうねりです。社会のしくみや生活者を取り巻く環境が大きく変わろうと している今、これに住民の一人として対応していくには一公務員としての枠組みから 離れた活動を進めなければ、幸せな社会は実現できないと確信したのです。
実際、か なり悩みましたよ、そりゃ(笑)。でもやらなければ、と。西木村が良くなっていく ためには仙北郡が良くならなければ。そのためには秋田県が良くならなくちゃいけな いし、国もそうですね。だから、強い決意で臨むことにしたんです。当選させていただいて本当によかった(笑)。
◆市町村合併の問題をテーマにあげていますが…?
市町村合併の問題は、僕が暮らしている西木村にとってもその将来を考えるととても 大きな問題で、社会のしくみが変わっていくことで行政サービスと住民の暮らしの新 しい関係を築いていかなければならない。自分たちは、どうありたいか?合併によっ て、どういった社会の誕生を望むのか…?単に行政区分が変わって、地方交付金がも らえて…というようなことだけだとしたら、それは「変革」とは言えません。地元住 民を主役とした次のステージをみんなで知恵を出し合って、具体的な方法や手法で 創っていかなければいけないと思っているんです。

 

次代を担うのは子どもと若者たち。
この層を育てていくことが、元気な町づくりになる。
◆元気な社会の実現のために、子どもや若者・女性をキーワードとして掲げていますね…?
社会のしくみが変わることで生活者を取り巻く環境も変わります。昨今の経済不況は 地方の社会も元気をなくさせてしまっています。私たちのまわりにいるお年寄りの皆さ んは、戦後の貧しく混沌とした時代を乗り越えて豊かな社会を創って来てくれた。な らば、今のこの経済不況に見られる元気のない社会は僕たちが乗り越えていかなきゃ ならない。次代を担っていくのは子どもたちと若者たちなんです。その世代に、少し でも豊かで暮らしやすい社会を引き渡して行かなきゃ…。子どもは地域で育てる、と いうのが僕の持論だし理想です。親・学校・地域みんなで子どもたちを育てるという 「新しいコミュニティ」づくりを実現しましょうよ。
◆門脇さんにもお子さんがいらっしゃるそうですが、子どもたちの「生きる力」っ て…?
ええ、4人も(笑)。
子どもたちがお世話になっている幼稚園や小学校でPTAの仕事 をお手伝いしたり、公民館に勤務していたこともあったりで、子どもたちと接触する機会は多いんですよ。でね、思う んです。この子たちを何としてでも守ってあげなきゃって。子どもたちの「生きる 力」って、地域とのいろんな関わりを通して身についていくものだと思うんですよ。 そういった機会や選択肢を準備してやること。僕らが地域の子どもたちみんなに関 わっていくこと。それが僕たち大人の責任だろうと。それを始めるのが今。今始めな きゃいけないんですよ。時代はどんどん進んで行くんですから。地域活性は、子ども や若者の元気からですよ。
◆少子化対策は…?
まずは、女性が安心して子どもを産んで育てる環境や土壌を創る必要がありますよ ね。僕らの地域には誇れるものがいっぱいある。その中でも自然環境の素晴らしさは どこにも負けない。そういう環境で子どもを産んでもらうとしたら、精神的にもゆっ たりとした気分でお産を迎えられるんじゃないですか。田沢湖のほとりに「子育て 村」っていうコミュニティをつくって助産婦さんを配置してお産や子育てに必要な施 設を準備する。地元の人たちとコミュニケーションしながらみんなで応援しながら産 前産後はそこで過ごせる…。そんな発想も必要ですよね。とにかく、みんなが子育て に関わっていく風土や文化ができればいいんですよ。

 

地元が経済的に自立すること…
具体的な方法は山ほどあるはず。 だから、個性豊かな若者の知恵と発想を結集したい。
◆そのためにも雇用の機会を創出しなければ、当の若者が出て行ってしまう…。
そうですね。これまでにもいろんな集まりで「経済優先?」「心の豊かさ優先?」っ て議論してきましたが、なかなか結論は出せなかったんです。でも今の僕は、地元産 業の発達により経済力を高めることが優先だと考えている。お金がすべてという発想 はないけど、お金があってはじめて「元気な地域」が実現できるのは事実だとも思う んです。
◆エンジニア村をつくると考えているようですが…?
「何をアホなこと…?」って思う方もいるかもしれないけど、「経済対策、不況対 策」って掛け声ばかりかけてても何も始まらないんです。そこには具体策が必要で しょ。
地元の環境を使ってもらってエンジニアや作家とか頭脳労働者たちが全国から 移住するのもいいですよね。技術的に進歩した今の時代、こういった人たちは働く場 所を問わない 。
要は、仕事に落ち着いて取り組める環境の問題なんですよ。
癒し、自 然派…時代はそういうものを求めてるし、私たちは、それに応える環境を持っている じゃないですか?
◆その発想の延長に「秋田県産自動車の開発」も…?
そうです。光岡やタカラといったいわゆる大自動車メーカーじゃないところだって、 今や自動車をバンバン造ってる。秋田県出身者の自動車メーカーエンジニアにUター ンしてもらって、寒冷地仕様車を開発してもらう。売る先はロシアや北欧ですよ。広 大な敷地もあるし、雇用も確保できる。こういった一見バカげた発想でも、進めてい かなければ状況は何も変わらない。僕たちには、それができるバイタリティーがある じゃないですか。
◆地場産業としての農林畜産業は?
もっとも有望な近未来型産業だと確信しています。また、循環型(リサイクル)産業の主役として、産廃物の再活用をキーワードに産業ごとの 新しい連携のカタチをつくります。農林畜産業も後継者の問題がありますが、それ だって、地域が活気があって元気で、新しい産業に生まれ変わるなら後継者は自然に 確保できますよ。旧態依然とした産業のスタイルでは状況は回復しないですね。
◆商店街や商工業は?
購買意欲や消費が冷えているとは言うものの、郊外の大型店の駐車場には車があふれ ている。地元商店街が大型店と規模・品揃えで戦っても勝ち目はない。そうじゃなく て、近所の店に買い物行ってみようっていう流れやしくみを創らなきゃいけないです ね。他にないような個性的な商店街づくり、若者たちと一緒に考えていきます。
◆女性のセンスも大切にしたいと言ってますね…
日本の「男尊女卑」も大きく様変わりして女性の社会進出もクローズアップされてま すけど、地元の農村部ではまだまだ女性が活躍できる場がない。女性の視点ならでは のセンスが活かされる場って、実はいっぱいあるんですよね。職場のインテリアコー ディネートとかフラワーアレンジメントとか、職場環境を向上させるのはやはり女性 のセンスなんじゃないかな。そういった「特技」を県単独の認定資格として、地元の事業 所や役所相手に活躍してもらうことを考えてます。それと、「もったいない運動」を 実践するフリーマーケットのネットワークを立ち上げる。地元のフリマじゃ見つから なくても、ネットワークを使って他の地域から見つけるとかね。地元の耳より情報を 主婦の方から集めて携帯で配信するとか…。女性が活躍できることも、いっぱいあり ますよね。

 

世代によってニーズは違うはず。
画一的な福祉サービズから脱却して、 「尊敬と思いやりの福祉」を実現します。
◆新しい社会づくりで重要なのが「福祉」ですが…
福祉サービスというと、とかくお年寄りや体に障害がある方のためと思われがちです が、幼児を持つ家庭、働き盛りの世代、お年寄りのいる家庭など、そのケアの方法は 違うはずなんです。いろんな生活スタイルに対応できる福祉サービスメニューづくり をしていきたいですね。
◆福祉サービスに従事する方々のケアも必要かと…
仕事として福祉の現場に関わる方もそうだし、在宅介護を行う家族の方々の大変さを 世の中がしっかり理解しなきゃいけないでしょうね。働く人にはより良いサービスを 提供してもらうためにスタッフ教育を進める一方での待遇改善も必要。在宅介護のご 家庭の精神的・労力的・経済的負担の軽減も進めなければ。必要な時に力を貸してく れる方々のネットワーク化も考えています。

 

自然環境、 そして伝統文化を子どもたちにのこしたい。
◆地元の環境資源を子どもたちにどうのこしていきますか?
やはり田沢湖を魚が棲む湖にしたい。子どもたちは「こんなにきれいな湖なのに、な んでお魚がいないの?」って不思議がってるんですよ。魚がいなくなった歴史は僕た ちには理解できるんだけど、子どもたちにそうなった責任はないワケですよね。きれ いな湖には魚が棲む…この自然の法則に応えていかなくちゃ。河川とか水田の生態系 もきちんと守って、というか再生していきたですね。
◆「ささら」などの伝統芸能は担い手がいなくなっている…
地域に伝わる習俗や芸能などは貴重な文化です。村が成長する経過で生まれたものだ から、先祖と同じように敬い大切にしていくべき。ただ、次代に継承していくために は実際的にある程度の費用も必要です。そういったものには、しっかり予算をとって いくべきだと思ってるので、その方向で進めますよ。

 

「国際化」という言葉自体が身近になった。
国際的な連携を視野に、観光産業を創出したい。
◆秋田ソウル線も就航して韓国も近くなりましたが…?
韓国だけではなく諸外国が近くなりましたね。ソウル空港はハブ空港だから、秋田か らソウルを経由していろんな国に行ける。アジアをはじめ、アメリカ、ヨーロッパも グンと近くなったわけですね。こちらから近くなったということは、あちらからも近 くなったわけだから、世界規模の観光を創出できる。地元地域や県内の観光の魅力度 を分析して、多くの外国から可能客を誘導したいし、地元の生産品を海外に向けて販 売していくことも可能なので、そのルートづくりも進めていきたいですね。


門脇氏の話を聞いていてどんどん引き込まれていく自分がいる。何故なのだろう?彼 の話のすべてに具体性があり、かつすべてがリンクしているからだ。能書きだけを並 べて理想主義ばかり唱える方が多い昨今だが、門脇氏は具体策を持って、理想を、夢 をカタチにできる能力を持っているようだ。


門脇みつひろ、42才。
「やりたいことは全部やってきた」と言い切る人生。
◆これまでの人生を語るとしたら…?
充実した人生ですね。明日死ねと言われたら、死んでもいいくらい(笑)。どちら かと言うと内向的で消極的な幼少時代でしたが、地域に育ててもらったなぁって今実 感してます。よその家の大人たちとも自然に接していた。田植えや稲刈りの時には、 田んぼのあぜ道に腰掛けて、誰かが用意してきた「味噌おにぎり」を食べる。いろん なことしゃべりながら…。いろんな関わりがあったから、こんなにたくましく育っ ちゃった(笑)。
◆内向的…という今では信じられない(失礼)
性格がガラリと変わったキッカケは?
「この時」というのはないけれど、角館高校時代の友人の影響とか、農業短大時代の想像を絶する寮生活とか、いくつかのターニングポイントはあったかもしれないな。
◆社会に出てからの経験も影響してる…?
自我が目覚めたのはこの頃からかもしれない(笑)。役場を1ヶ月休んで行ったユー ラシア大陸一人旅は、自分が大きく変わったキッカケになったと思います。そこで見 たり経験したりしたことを通して、「じゃ、自分は地元で何ができるのか?」って真 剣に考え始めましたね。
◆町づくりボランティア団体「サラダハウス」の活動は、それが基本になってる?
そうです。
サラダハウスは一言で言えば実験団体(笑)。
元気な町づくりのために何 ができるのか、どこまでできるのかを実験することが活動の目的でしたね。当初はイ ベント開催を企画して、町づくりを実践しようとしていた。だけど途中から「?」と 思うようになってきた。
イベントを開催することで、確かに他人は喜んでくれるんだ けど…。

 

半ば自分のために、
半ば他人のために… この精神なくして、新しい文化は生まれない。
◆イベントでは元気な町づくりはできないと…?
いや、手法としてどうなのかと。果たしてこのまま続けて行っていいものかどうかを 考えたのは、自分たちのエネルギーの消耗を感じ始めたから。町づくりは、やっぱり みんなにとって良くないと進まない。自分たちもおもしろくなければ、他人のために なるからっていう犠牲みたいなものがあると、実は自分たち自身が変われない。まず は、自分たちもおもしろくなろうよって…。自分もそうでみんなも楽しい。これが町 づくりに求められる手法だろうなぁ。
「全国ありがとう文庫」は子どもたちの夢を叶えた…
本屋さんも図書館もない西木村。
子どもたちは本を読むことに飢えていた。
そこで全 国に呼びかけて、いらなくなった図書を提供してもらったんだけど、なんと30万冊も 届いた。うれしかったですねぇ〜。その本を整理したり分館(ミニ文庫)を作った り、その経過でいろんな新しいメンバーとの出会いがあったり。
サラダハウスの活動 としては大成功ですね。
◆ロックコンサートや湖上結婚式なんかもやりましたよね?
  そうそう、せっかく恵まれた自然環境にあるんだから、この資源を有効活用しなくっ ちゃっていうのが発想の原点。
しかし、若い人たちの発想力や実行へのエネルギーっ てすごいよね。それまでのしがらみや既成の枠組みにとらわれないで、とにかく新し いことを実行していくんだから。そういう風土を大事に育てていきたいですよね。


与党でも野党でもなく、
県政には政策を重視した是々非々でのぞみたい。
◆当選後、すぐに「会派いぶき」を立ち上げましたが…?
自分は選挙も無所属・無党派で戦ってきました。特定の政党や政治団体、特定業界といった方々とは距離を置いてきたんです。県政の建て直しをするには、そういった既 存の枠組みから影響を受けずに同じ生活者の一人としての目を持ち続けることが最も大切だと思ったからですし、この思いは今でも同じです。県政に携わる自分の役目は、生活者一人ひとりの声を具体的なカタチにすることだと思っています。自分は決して大きな手柄を立てるような政治家ではありません。これまで通り軽トラックで農道や路地裏を走り、軒先まで伺って一人ひとりのお話を聞いて歩きたいと思います。
ただ、議会というのは多数決の世界なのです。当選させていただいてわかったんで す、どんな思いを持っていようが一人ではいろいろと大変なんだということが…。人間的にも政治姿勢の面でも共感できるパートナーが必要だということなのです。それで、京野公子さんと腹を割ってとことん話し合い、「この人となら」と二人で新会派を立ち上げることにしました。それが『いぶき』です。いぶきという名は、自分のかあちゃんが5番目のこどもにつけようと用意していた名前です。「いい名前をもらったね」と京野のねえちゃんも喜んでくれました。これからは京野さんと二人で、わか りやすくて公正な議会活動に精進します。どうか、応援をお願いします。


●プロフール
昭和35年 7月26日 西木村門屋字上門屋生まれ 42才 O型 獅子座
昭和54年 県立角館高校卒業
昭和56年 県立農業短期大学卒業
西木村役場勤務
昭和61年 ユーラシア大陸を一人旅
昭和63年 地域づくり青年グループのサラダハウスを仲間たちと設立し、田沢湖畔で ロックコンサートを開催。以降、田沢湖での湖上結婚式や田沢湖バルーン大作戦な ど、数々のイベントや物産開発、ボランティア活動を仕掛ける。
平成10年 全国から不要となった本を募って「全国ありがとう文庫」を開設し管理者に
平成14年 9月、西木村総務課、企画課、教育委員会経て産業課林政班主席主査で退職。
以前に交流で知り合った羽後町の方からトルコキキョウの栽培を学び、現在もハウス7 棟を数える。
平成15年 県議選に出馬。当選後は湯沢市選出の京野公子氏と会派「いぶき」を立ち上げ、代表となる。
現在 県議1期目
農業(稲作と花き)・林業
サラダハウス代表
西明寺小学校PTA会長
西木村こども会会長 田沢湖に生命を育む会会員
スポーツ
趣味など
少林寺拳法初段
家族との食べ歩き



■インタビューを終えて
門脇みつひろ氏の人となり、信念の根元には「地元への熱い思い」がある。それもかなり 強烈だ。町づくりは一部の関心が高い層だけでも行政だけでも実現できない。町づく りに参加する人が多ければ多いほど完成度の高い「新しいコミュニティ」が実現す る。門脇氏の発想や言動には、彼の人生そのものや活動実績の裏付けがある。だか ら、夢を夢で終わらせない強い実現力を感じるのだ。 門脇氏なら、いや、彼に言わせれば、門脇氏と一緒になら、この膠着した秋田県を変 えていけるかもしれない。
(取材/コピーライト シスコSP 菊地 修)




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