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祭りの話

 2月は雪まつりの月です。おまつり好きの我が家は、お客さんがきれた日をねらって近所の雪まつりへと出かけました。
 「小岩井の雪まつり」。こどもたちに、汽車に乗る経験もさせようと、この日は田沢湖線で雪景色を眺めながら向かいました。年々スケールアップする雪像や広場でのソリ遊びに、子どもたちは興奮しっぱなしでした。全体“見せる”“楽しませる”というショー的手法が巧みで、来年も楽しみです。
 横手の「かまくら」は久しぶりでしたが、伝統的な小正月行事ということもあって、素朴なそのスタイルは以前見たころと同じでした。ながく伝えていきたいおまつりのひとつです。
 一番感激したのは、西木村の「紙風船まつり」です。これはショーでもなければ、神仏がらみの伝統行事でもありません。純粋な“大人の遊び”でした。言い伝えによると、その発祥は平賀源内の置さ土産とか…。
 障子紙をテープで張り合わせて作るどでかい風船を熱気球の原理で飛ばすのですが、向かう大人たちの目が、まるで少年のようにキラキラ輝いています。これを作るのに、かなりの時間と労力を費やすようです。熱でふくれ上がったその風船には、部落の人たちが工夫をこらして描いた様々な絵や、メッセージが浮かび上がります。そしていよいよ打ち上げ。タイミングを見計らっていたリーダーの「いが?いぐぞ!せーのぉー…」というかけ声で、風船を押さえていた人たちの手が一斉にはなれます。みるみる上って行く風船、あがる歓声、「ばんざ−い」の声。なかには、パチパチとはじける花火がいたずらっぽくぶら下げられたものもあったりして、見ている人たちの笑いを誘います。
 この夜は風が強く、あおられると風船本体の紙に火が移り、地上で燃えてしまうものも…。悔しさで、大のおとなが涙を見せる姿には心を打つものがありました。
 会場の周りには、部落名のかいたテントがはられ、やはり部落ごとに工夫した手作りのそばや焼き鳥、甘酒などが用意されています。人集め、とか村起こし、なんていう気負いがまったく感じられず、自分たちの村に生まれた文化を自分たちで楽しみ、喜びあう、そんな純粋なおまつりは、久しぶりに見たような気がします。
 ともすると最近のおまつりは、人を呼ぶという採算がらみの意識や、毎年やっているからという惰性的な意識が働きがちですが、そんなことよりも先に、自分たちが楽しんじゃおうというこのまつりの姿勢は、ほかの町から来た一観光客でありながら、逆に心引さつけられるものがあったのです。
 元気がない町は観光客を呼ぶことができないどころか、町の若者をつなぎとめておくことすらできません。観光で生きる町にしても、農業で生きる町にしても、その町で暮らすことが楽しくなるような、そして自分の町がもつ自然や文化を、自分たちで活用できるような「町づくり」から見直す必要がありそうです。
 まず自分たちが楽しんじゃおう、という姿勢こそが、じつは、政治(まつりごと)の原点であるのかもしれません。

佐々木達哉
1960年生まれ。
昨年8月から田沢湖畔に住み着く
喫茶&ペンション・オーナー

1994年3月11日 週刊アキタ「秋田論壇」から 

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