手の基本訓練について
日本の民族舞踊は西洋の民族舞踊と比較して手の表現が極めて多様であり、豊かな内容を持っていると言われている。
これはその表現の多様性をある程度系統だって考えてみようという試みである。
また日本舞踊などになると更にその表現は微細になっていくが、あくまで民族舞踊の範囲に限ったものである。
「手の運動を考える上での二つの視点」
◎手のポジション(点で考えた状態、静止)
◎手の軌跡(線で考えた状態、移動)
「運動の原理」
◎関節で動く
◎ 筋肉を使って動かす
「手(上肢)の関節」
◎指関節
握る、開ける。
指をそろえる、指を開く
◎手首関節
基本的に折る、回す(若干の横振り)
肘関節、肩関節と連動して多様な表現が可
◎肘関節
使用範囲は基本的に水平180度以内
肩関節を伴って多様な表現
◎ 肩関節
使用範囲は基本的に水平180度以内
垂直は180度よりやや広い範囲
以上の各関節の複雑で微妙な組み合わせにより無限といっても良い手のポジション、軌跡が生み出される。
「手の軌跡」
◎直線運動
◎円運動
◎波動運動(円運動の延長とも言える)
◎片道運動
◎往復運動
◎反転運動(手踊りの特徴)
「特殊な手の表現」
◎リラックスした手
(4本の指をそろえ親指を手の平の内側に入れたいわゆる綺麗な踊りの手の範疇に当てはまらないもの)
◎物や物の状態を表す手
◎労働する手
◎手を使った日常動作が踊りの振りになったもの
などなど〜
「訓練をする上で大切にしたいポイント」
1、運動には緩急がある。
運動の出発点と途中経過、終点があり、その速度も質も違う
2、呼吸を伴う。
3、手の表現は背部の筋肉の支えによってより豊かになる。
「具体的な訓練に入る前に」
◎手の平のパターンを六つに分類する。
1、握った手
2、両手の甲が上を向いている(これを伏せ手と呼ぶ)
3、左手はそのまま、右手の平を明ける(これを平行手と呼ぶ)
4、両手の平を明ける(これを明け手と呼ぶ)
5、左手はそのまま、右手の平をふせる(3と同じくこれを平行手と呼ぶ)
6、 両手の平を内側にむけて立てる
(注、3と5は対で一つの運動を構成することが多い)
◎体の前面を上中下、右中左と九つのブロックに分けて極め手を分類する。
決め手とそれに向かう手の軌跡
◎体の背面を使う手の動きもある。
まだまだ説明不足のことが沢山ありますがそれでは実践編に移りたいと思います。
1、握る・開ける
(1)握った時親指外に(中指に当る位置に)
(2)握った時親指中に
2、手首から折る訓練(上、下、内、外)
(1)あけて
(2)ふせて
3、手首、指こね訓練
4、波動の訓練
(1)横
(2)右斜め上に
(3)左斜め上に
(4)縦
(5)縦交互
(6)綾
(7)じょんから
5、あけ、ふせの訓練
(1)正面あけ、ふせ
(2)斜め上あけ、ふせ
(3)斜め下あけ、ふせ
(4)正面あけ、ふせ開き
(5)斜め上あけ、ふせ開き
(6)斜め下あけ、ふせ開き
(7)正面あけ、ふせ開き上げ
(8)正面あけ、ふせ開き下げ
(9)正面あけ、ふせ開き段違い
(10) 斜め下あけ、ふせ月見
次回に続く〜(以下序々に図入りで解説いたします)