高橋市長、激戦乗り越え4選飾る
身を引き締めて明日から頑張りたいと当選の弁(9月26日・日)
当選=高橋司氏 13,281
落選=石塚柏氏 10,279
大曲市民は高橋市政の継続を選んだ−。任期満了に伴う大曲市長選は26日投票、午後8時45分から圏民体育館で即日開票された結果、現職の高橋司氏(70)=無所属=が1万3281票を獲得、新人で元会社役員の石塚柏氏(52)=同=が1万279票で、高橋氏が石塚氏に3002票の差を付けて4選を果たした。
当日の有権者数は男1万4683人、女1万6952人の合わせて3万1635人で、投票者数は男1万772人、女1万3039人の合わせて2万3811人だった。持ち帰りが1票合ったため、投票総数は2万3810だった。投票率は75.27%で、12年前の市長選は87.89%と高率だったのに対し、今回は12.62ポイント下がった。
今度の市長選では高橋氏は自民、社民両党の推薦を得たのをはじめ連合秋田、JA秋田おばこ、市老人クラブ連合会、医師会などの団体や事業所など200を超える推薦を得、万全の必勝態勢で臨んだ。選挙戦では「介護保険」の円滑な運営を目指し、「これを軌道に乗せるためにも今、市長を辞めるわけにはいかない」と訴えると同時に地方分権を前提とした「市町村合併を実現するためには周辺町村長との信頼関係が大事」と高橋市政の継続の必要性を訴えた。
これに対して石塚氏は人口減などを課題に「若い人たちの流出を防ぎ、若い人たちが働ける場を創出して活性化を図りたい」と「地域栄養支援センター」の創設や市民と共につくる街づくりを課題にした「大曲21世紀会議」の設置、「3世代がいっしょに住めるまちづくり」など斬新なアイディアを出して懸命に支持を訴えた。
しかし、高橋陣営は金谷橋(大曲橋)の架け替え、国道13号の4車線化、地域高規格道路大曲西道路の促進など国や県と直結したパイプを断ち切るわけにはいかないと高橋市政の必要性を訴えて懸命に逃げ込みを図った。さらに市議会も共産党を除く23人全員が高橋氏をバックアップ、これに辻久男、栗林次美両県議も付きっ切りで高橋氏を支援、市民に浸透を図った。石塚氏は孤立した戦いとなったが「若さと行動力」でイメージアップを図り、得意の弁舌で市民の支持を仰いだが最終的に知名度の低さで及ばなかった。
しかし、石塚氏の得票数は高橋陣営の読みを大幅に上回る1万279票。「ある程度の批判票は覚悟していた」と高橋陣営は言うが、市民は多選への批判や3期12年間続いた高橋市政への“あき”も加わって厳しい反対票を上積みさせたものと見られる。
圏民体育館で始まった開票作業には130人の職員が携わった。会場には100人を超す市民が詰めかけ票の行方を心配そうに見守った。開票が始まって30分後の午後9時20分、中間発表が出された時点では高橋、石塚両氏とも5000だった。会場から小さなどよめきが出たが、それから20分後の9時40分、高橋氏当確の知らせがテレビで流された。高橋氏の選挙事務所には300人を超す支持者が集まっていたが、スタッフがマイクを握って「高橋市長の当確が出ました」と叫ぶと会場には「オーッ」と喜びの声。
事務所には仙北郡内13町村のほとんどの町村長も詰めかけ一緒に高橋氏の再選を喜んだ。当確が出てから妻・瑠璃子さん(65)と共に選挙事務所に駆けつけた高橋氏は厳しい表情だった。出迎えの人々に丁寧に頭を下げた後、真っ直ぐに祭壇に向かって手を合わせた。事務所を囲んだ支持者らは「市長。良かったな」と大声。総括責任者の寺邑能美さんが「多くの支持者、スタッフのおかげで当選を果たすことが出来た」と勝利の報告。これを受けて御法川英文代議士が「高橋さんの4選を心からお祝いする。12年間のたゆみない努力の成果と市民のご支援の結果だ。まだまだ難題が山積しているが、市民の期待も大きく、周辺町村の期待にもこたえ、思う存分、市政に尽くしてほしい」と当選を祝った。同時に「相手候補も予想を上回る結果を出した。その意向も踏まえ、今後の市政に努力してほしい。私も全面的バックアップしたい」と石塚氏の健闘をたたえた。続いて辻、栗林両県議もマイクを握って高橋市長の4選を祝った。
緊張感に包まれたまま登壇するのにさえモジモジするはにかみやの高橋さんは静かに壇上に上がって、やっとマイクに向かった。「ありがとうございました。当選の栄冠を皆さまのおかげで手にすることができました。お世話になりました。相手に流れた相当の票。これは私への批判と受け止め、身を引き締めてこれからの市政に取りかからないと“いかん”と思う」と自身を戒めた。そして「この勝利は大曲に誇りを持っている方々の勝利であり、大曲仙北のために何ができるか身を引き締めて明日からしっかりやっていこうと思う。どうもありがとうござんした」とやっと笑顔を見せながらも目はうつろだった。
報道陣から囲まれた高橋市長は「今度の選挙戦は初めから大接戦だと思っていた。しかし何としても勝たなければと、さように思っていた。明日から早速、出勤して仕事に取りかかりたい。市民の中には市役所がどんな仕事をしているのか分からない人も多くいるということが今度の選挙戦で良く分かった。これからはもっと市の仕事の説明を大事にしなければいけないとも思った」と語った。
とつとつとした語り口。自分の仕事、実績を自慢することもなく、ただひたすら考え、誠実に実行してきた高橋さんだった。派手さはないが、技能功労者の表彰制度や新人音楽祭の創設、さらには農村部と都市部とのバランスの取れた発展をと「農村総合モデル事業」にも力を入れた。小中学校の校舎改築など教育環境にも心を砕いた。待望の市民会館も建設し、仙北組合総合病院が市の委託を受けて経営していた精神科の病院が赤字のため撤退した時は「入院患者を切り捨てるわけにはいかない」と人道的な立場から病院経営を市の直営にしたうえで、新しい病院も建設した。高齢者用の市営住宅の建設に取りかかるなど常に弱者に視点を置いた市政の面でも目立った。
当選の取材のためインタビューに訪れ、初めて高橋さんと接した報道陣の中には「政治家はペラペラと自分の実績を語る人が多いが、高橋さんはほとんどそのようなことを自慢しないんですね。あいさつのために壇に上がる時もあんなにモジモジするなんて。はにかみやとは聞いていたが、あに姿勢から高橋さんの誠実さが伝わってきました。もう一度会いたい人だと思った」と好印象で語っていた。