角館町の祭典勇壮華麗に

今夜が山車(やま)ぶっつけの本番(9月9日・火)

 角館町のお祭りをひと言で表現するとなれば「血わき肉躍る」に尽きるだろう。7日から始まった国重要無形民俗文化財指定の「角館町の祭典」。8日夜は町内10か所で曳山(ひきやま)の観光用“激突”が行われ、観光客を奮い立たせた。祭りのメーンとなる山車(やま)ぶっつけは今夜9日が本番となる。

 ナラ材を使った重さ7トンとも8トンとも言われる曳山は、まるで木造戦車。歌舞伎人形や武者人形を乗せ、囃子(はやし)方、踊り子が乗る。今年は昨年より1台多い、18台の曳山が参加した。笛、大太鼓、小太鼓、三味線、鉦(かね)、鼓の構成による華麗な飾山囃子(おやまばやし)が丁内中に響き、7日夕方から山車が動きだした。

 同町の祭典は神明社と薬師堂のお祭り。7日が神明社の宵祭り、8日は本祭。薬師堂は8日が宵祭り、9日が本祭となる。山車は7日は神明社へ参拝し、8日は旧殿さまの佐竹家へ上覧、そして9日は薬師堂への参拝となるが、この薬師堂に向かう、あるいは帰る途中で曳山同士が狭い道で向かい合えば、通行権をかけて交渉、話し合いが決裂すれば優先権をかけて激突となる。曳山が歩くコースはそれぞれ“秘中の秘”とも言われ、責任者を中心とした幹部たちのひらめき、腕、根(こん)、経験がものを言う。

 8日夜の“ぶっつけ”は観光用とは言え、本番に向けての腕試しでもある。事前に時間と場所、丁内もあらかじめ決まっているが、曳山同士が向かい合うと山を引いてきた若者は次第に興奮。交渉員が山と山の間に入って交渉を始め、終了すると囃子は急テンポの「ぶっつけ囃子」となって、戦闘員を鼓舞する。「ヨイッサ、ヨイッサ」の掛け声が割れるように響くと同時に曳山と曳山が激しい勢いで前進、ガッツンー、ガッツンーと正面衝突を繰り返された。

 見ている群衆からは「ホーッ」とため息がもれ、手に汗を握る。2度、3度とぶっつかり合う。ぶっつけが終われば踊り子たちは囃子にのって山の上で華麗に踊りだす。あの激しいぶっつけがなんでもなかったかのように「動」から「静」へと一瞬のうちに移り変わる。まるで芝居のような鮮やかさ。角館町の祭典は単なるけんか祭りではない。こうした激しい男たちのエネルギーの叩き合いの中に女たちの静の美が潜む。

 今夜は各丁内の威信をかけて曳山が歩き、時には激しくぶっつかり合い、山同士が「ハ」の字となって組み合い空をにらむこともある。ぶっつかり合いは明け方まで続く。期間中の人出は35人とも40万人とも言われる。人口わずか1万6000人の町が、祭りの若者と観光客で埋めつくされることになる。