町内会長の意見を聞く懇談会を開催──大曲市が移動議会(97・3・4)

 大曲市町内会長懇談会が3日、グランドパレス川端で開かれ、市側は各町内会長から出された意見、質問に答えた。市側からは高橋司市長を始めとする3役、そして総務、民生、建設の各部長、課長、さらに地区公民館長ら18人が参列、住民代表の質問に直接答えるという議会制度を超えた市側の対応は取材する側から見ても小気味よく感じられた。しかし、参加した町内会長からは「お役所の通りいっぺんの答弁から脱してない」と厳しい声もあった。県内9市の中でこのような形の懇談会が開かれているのは珍しいはずと県仙北地方部は評価する。

 町内会長懇談会は市内131町内会の代表から、それぞれの地区が抱える問題点、あるいは全市的な観点からの意見があったら直接、耳にして改善できるものは即対応したいと7年前から始まった。普通は市議会がその役目を果たすのだが、市民とのコミュニケーション、そして市民参加の行政を目指したいと始めた。

 町内会からの要望や意見、質問は事前に葉書で取った。その数は142項目にも達した。まず高橋市長が28日の議会で読み上げた施政方針演説の概要を述べ、1997年度の主な事業、方針を報告、「限られた財源だが、生活環境改善に直結する事業は優先的に行い市民がゆとりを持って生活できる空間を築きたい」と締め括った。

 続いて鎌田重光教育長が要望のあった中高生向けのスポーツ施設に関して「各地区の公民館を利用してもらっているが、今後は地域に密着した学校を開放し、有効活用を図りたい」と報告。また大曲南中学校の駐車場の狭さについても「学校向かいに市土地開発公社が分譲地を設ける予定になっており、その緑地帯の一部を利用したい」と答えた。

 続いて飯村次男総務部長が「意見、要望のあった142項目のうちこの場では市全体的な関わりのある47項目に絞って答え、残りは担当課から電話などで知らせたい」とし、新幹線開通に伴う市側の対応について、「これまで進めてきた社会資本の整備や各種イベントの充実に加え、立地条件の優位性を活かし、人と物の交流促進に力を入れ、豊かでにぎわいのある町づくりの構築に努めたい」と述べた。また県立ドームの誘致に関しては「昨年8月に県に陳情すると共にスポーツによる町づくりなど誘致に向けた環境づくりを進めている」と答えた。

 さらに要望の多かった市立体育館の設置に関しては「調査費を置いて検討してきたが、今後は総合体育施設として整備構想の策定に入る」と明らかにした。また町中心部の活性化を望む声に対しては「郊外型の大型店の進出によって、中心商店街も活気を失いつつあるが、区画整理事業をはじめ有効な事業の導入や道路整備などを行い街並みの美化や快適な生活環境基盤の確保を図り、市街地の活性化に努めたい」との姿勢を示した。

 設置は構造上無理との答えもあったが市役所へのエレベーターの要望もあった。町内会館の維持補修費への補助、アメリカシロヒトリの防除の方法、さらには町内会独自に一人暮らしのお年寄りへの楽しみ会を実施しているが、市からの助成も欲しいといった要望もあった。老朽化した町内会館などへの補修費の補助は検討を進めているとし、町内会の自主事業として取り組んでいる一人暮らし老人との親睦会には社会福祉協議会と相談して助成の方向を考えたいとの答えがあった。

 参加者の耳目を集めたのはやはり建設部の回答。大曲橋(金谷橋)の架け替えの見通しや花館間倉地区の国道13号線の渋滞解消などを訴える声があった。 これに対して辻原俊明建設部長は大曲橋について「地域の生活道路として県道大曲大森羽後線の道路改良も含めて、早期実現に向けて陳情を行っている。橋の架け替えだけで70億円の事業費となると聞いている」、「建設省で国道13号線神宮寺バイパスを98年度から5カ年計画で事業着手する予定だが、このバイパスによってしか渋滞の解消策はない」と答えていた。

 参加した町内会長は地元にかかわる問題を耳にしては熱心にメモを取り、「帰ったら皆さんに成果を報告したい」と話していた。しかし、市側の答弁に関しては「本当に職員が現場を見ての回答なのか、通りいっぺんの答弁で不満も残った」、「今日の答弁で答えられなかった問題は後で担当課が電話で報告すると総務部長が言っていたが、一度も電話はなかった。あんまり期待してない」と辛い評価もあった。ただ、市側が議会とは別にこのような機会を設けたことに関しては「市民の声を直接、聞こうとする姿勢はありがたい」と好意的だった。