FBSR会について

 FBSR会は東北の音響技術者が中心となって始めた音響技術者の自己研鑽と親睦のための会である。毎回でき上がり会費制を取り他の研修会と一線を画する実践主体の大変に勉強になる会である。原則2月の中旬、音響業者が平均的にもっとも仕事が少なくなる時期を選んで技術研修会を開催している。また、国家資格である舞台機構調整技能士(音響機構調整)の受験啓蒙も行っている。

 かくいう私も第1回目から不慮の事故による一回の不参加を除いてはすべて参加しており、多くの同業の友人知人、そして師匠を得ることが出来たと思う。

 会長は元東京音研の技術部長であり、故郷の喜多方に喜多方プラザ文化センターが開設されるのを機に帰郷・赴任した薄崇雄氏である。多くの音響機材の開発にも参加しており、その卓越した音響センスや理論的正攻法のアプローチは学ぶべき多くのものを持っていると思う。

 講師は第2回以降、レコーディング部門がソニーミュージックエンターティメント(SME)の半田健一氏、そしてPA部門が東京音研技術部長(現音響特機株式会社技術部長)の岡田辰夫氏である。

 半田先生は私がオーディオ小僧を始めた中学生の頃、すでにオーディオ雑誌で気を吐く卓越したレコーディングエンジニアでありました。まさかこのように親しくお話をさせていただくとは思いもしませんでした。とくにクラシック・邦楽系の収音に関しては現在の技法のスタンダードを築き上げてきた人達の一人であり、ピアニストの中村紘子氏などは半田講師が管理職業務に従事している今でも他の人の録音では納得されないと言うほどである。明解な江戸っ子言葉で切れの良い説明をされる。

 岡田講師は東京音研の技術部長をされていた。つまり薄会長の後輩にあたる。現在は音響特機株式会社に転職されたが、今なお現場で卓を操作し続けておられる。教条的な音響理論を振り回すことなく、常に現場の中で出来ること、しなければ成らないことを峻厳された仕事をする方で、あたりまえの音響理論の中に潜む本質を現場感覚の中からあぶり出される優れた嗅覚と経験を積んでおられる。世代的にも近いことから音楽的な部分でも参考になる経験談を伺うことが出来、過去ずいぶん実践で応用させていただいた。近年、仕事絡みでもお世話になることが多く、FBSRを越えてお付き合いさせていただいてるのはまったくありがたい限りである。

 さて、なんでこんなにFBSR会についてページを裂くか・・何を隠そう私も運営委員の末席を汚すようになり、FBSR会実験メーリングリストの管理、同過去ログホームページ等を管理するようにあったからである。

 SRという業は徒弟的な技術伝達が今なお多く、系統だった学習が出来る環境がそろっているとは言いかねる。また技術の蓄積並びにシェアのシステムが未熟でなかなか共通理解の技術レベルが引き上げられるに至っていないと幾人かの同業者と話したことがある。

 つまり、最高の技術及び感性を必要とする部分はともかく、業をなすにあたってどのみち覚えなくては成らないことなどに関しあまりに資料が不足し、また勉強のチャンスも少ないと感じたわけだ。もちろん舞台機構調整技能士(音響機構調整)という国家資格も存在するのですがいまだ社会的認知とまではいかなく、また受験のためのシステマチックな学習機会があるとも言いかねる。

 そこで、優れた講師陣と出会うことによっておしげもなくシェアしていただいた技術や技法をまた、後進のために系統だってシェアできるよう蓄積していくことが私たちの務めであるように思う。

 ということで、ささやかながら、私の積み上げてきた技法を当ホームページで公開し、また、FBSR会の仲間の協力ももらいつつ少しずつ技術資料の蓄積を図りたいと思う。

 FBSR会実験メーリングリストは、会員用であるため原則公開はしていない。

 FBSR会に関する問い合わせは、私新田宛直接メールいただくか、事務局の森高一裕氏、あるいは会長の薄崇雄氏あてメールで直接お問い合わせいただきたい。

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